日本株「1万円割れ」シナリオを外せない理由 値動きはリーマンショック前を彷彿とさせる
このメカニズムでずるずると下げる日々が続き、1月20日の終値は1万7000円を割り込み、昨年来の安値を更新してしまったのです。
まだまだ下げる可能性がある
このようにどこまで下がるかわからない状況なのに、株式専門家の中からは「2015年9月の時はこのあたりの価格から反転上昇した。今回も同じ価格近辺であることから考えるとそろそろ底打ち反転なのではないか」という声が聞こえてきています。日足チャートから考えてみると、筆者はその考えに同意できません。株価が75日線を下回っている現状は、短期的ではあるものの、まだまだ下げる余地があります。
一方で、長期的に見るとどうでしょうか。これは「月足」の株価チャートで考えられます。毎月の株価の動きをグラフ化したもので、特に過去24カ月の株価を平均化した24カ月移動平均線を見ていきます。
考え方は日足チャートの75日線の場合と同じです。24カ月移動平均線の上にあれば過去2年買い続けた人は利益が出ていますし、下回っていれば過去2年間買い続けた人が損をしている状態になっています。
約3年前を振り返ってみましょう。2012年11月です。このあたりから月足の株価は24カ月移動平均線を上回っていくようになりました。いわゆる「アベノミクス」が始まった時期と重なるのです。
それから3年が経ち、日経平均は月足チャートでみると約3年ぶりに24カ月移動平均線を割り始めた状態です。これはアベノミクスにあった期待の否定を示唆していると読み取れるのです。そもそも3~4年は株価の周期のひとつでもあり、大きな転換を迎えているとしても不思議ではありません。
過去を振り返ってみますと、リーマンショックの起こった2008年秋の布石は2007年にありました。
この年、2003年の底から4年間上がったのち、月足の24カ月移動平均線を割り込んだのです。その後、2008年秋の大暴落へとつながります。
今回はその時と構図が似ているのです。杞憂に終わってほしいとも思いますが、「歴史は繰り返す」のだとしたら、その規模はともかくこれからそう遠くないうちに、大暴落が起こってしまっても不思議ではありません。もちろん反転上昇のシナリオもあります。それは逆にここから相場が持ち直し、この24カ月移動平均線の上で推移できるかどうかにあると筆者は見ています。
筆者は株価の方向を一方に偏らせることなくつねに上下両方のシナリオを描くようにしていますが、現時点では下降シナリオが有力ではないかと感じています。株価チャートがリーマンショック前を彷彿とさせるパターンにも見えることを考えると、日経平均は今年、1万5000円割れ、時と場合によっては1万円を割り込む最悪のシナリオもありえないとは、言い切れないのです。
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