大ベストセラーであるスティーブ・コビー氏『7つの習慣』(キング・ベアー出版)には、「尊敬的なコミュニケーション」は、ある程度成熟した人が接するレベルである、と記されています。
ただ一方で、尊敬的なコミュニケーションは「新しい創造的な可能性を、それだけで実現することはできない」とも書かれています。相互依存状態にあると、ほとんどの人が「妥協」という道をとってしまうので、1プラス1は1.5にしかならない、というのです。
けれども、そこで「相乗効果的なコミュニケーション」を行えば、1プラス1は8、あるいはそれ以上になる。高い信頼に基づいて相乗効果が発揮されれば、それは各人の能力以上のものを生み出し、そんな創造的な活動に参加することを各人が心から楽しむことになる、とも述べられています。
ここで言われている「相乗効果的なコミュニケーション」とは何か。それは端的に言えば、「互いに切磋琢磨すること」なのかもしれません。
2人で甲子園を熱狂させながら、運命のドラフト会議でいったんは友情関係が決裂したとされる桑田真澄さん、清原和博さんも、おそらく切磋琢磨した時間があったからこそ、相手を尊敬する気持ちだけは消えず、また相手に負けないよう努力を惜しまなかったからこそ、ともにプロ野球で活躍し、後に友情関係を復活させられたのだと思います。
「天使のような存在」を具体的にイメージする
最後に、人生の大きな決断を済ませた後に使えるアンガーマネジメントのテクニックを紹介します。つんく♂さんの記事にも書いた、ガーディアンエンジェル(別称、天使のささやき)というものです。
自分が苦しくてイライラしがちなときに、勇気につながるメッセージを送ってくれる「天使のような存在」が自分の背後で見守っていることをイメージします。こうすることで、自分を守ってくれる存在を設定でき、孤立感を緩和、イライラを減退させられるだけでなく、第三者的な目線を持つトレーニングにもつながるのです。
このテクニックを効果的に使うためには、自分のメンターのような存在や、離れて暮らす両親、学生時代の恩師など、具体的な人物をイメージするとよいでしょう。「大丈夫、君ならやれるぞ」と、その人たちが勇気づけてくれている……と、プラス思考の「錯覚」をしてみるのです。
大切な人や場所と離れることになっても、相手を大切にする気持ちを忘れず、心のどこかでつながり続ける人こそ「人生なぜかうまくいく人」なのではないでしょうか。そしてSMAPのメンバーは皆、どんな決断をしても互いへの尊敬を持ち続け、さらに進化してくれるものと、私は思います。
アンガーマネジメントに興味を持たれたかたは、拙著『パワハラ防止のためのアンガーマネジメント入門』(東洋経済新報社)をご高覧ください。
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