日本型ワークシェア、7年ぶりの政労使合意、雇用維持策で再浮上 

そもそも、今回の合意が遅すぎるといった指摘もある。連合傘下で非正規労働者を組織する全国ユニオンの鴨桃代会長は「(政労使での合意は)なぜ今頃か。時期がずれているというのが正直な印象。派遣切りが始まった昨秋の段階で春闘方針として、非正規労働者も含めたワークシェアリングを打ち出せなかったのか」と不満をあらわにする。

連合が強調するのが昨年11月に政府に行った「非正規労働者等の緊急雇用対策に関する要請」だ。「非正規労働者の雇用問題は昨年夏から議論してきた。合意のタイミングは(政府内での)調整が遅れたからでは」(連合・総合労働局の長谷川裕子総合局長)。合意に至るまでの見解には相違があるものの、昨年後半から、派遣社員を中心とした非正規労働者の雇い止めが急増したことは事実である。

ワークシェアではオランダ型をモデルケースとする見方もある。同国ではフルタイムとパートタイム労働者の雇用均等待遇化を図り、社会保障改革なども合わせて雇用増加へつなげている。『オランダモデル』の著者である拓殖大学の長坂寿久教授は、今回の政労使合意に対して「あくまで緊急的な対策にすぎない。先進国で雇用差別の撤廃が進む中、逆に日本は非正規雇用が拡大し、格差が固定化する社会が作られた。雇用形態の中期的なビジョンを示し、総合的なセーフティネットをどう作るかが今後に向けて最も重要」と指摘する。

手厚い雇調金を利用し、ただ不況の嵐が過ぎ去るのをじっと待つのか。それとも雇用形態のあり方を根本的に問い直す契機とするのか。雇用維持を図るべく持ち上がった「日本型ワークシェア」の取り組み方が問われている。


(許斐健太、井下健悟、風間直樹 =週刊東洋経済)

※写真と本文は関係ありません(撮影:風間仁一郎)

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