とくに、以下の「その他の装備類」とされるものは本来補正予算での調達になじまない。 「自衛隊の災害対処能力の回復等」として494億円が要求されているが、その理由は「 台風18号による暴風雨や各地での豪雨災害をはじめとするさまざまな災害に対処したことなどにより損耗が進んでいる装備品等の回復、及び災害対処能力の向上等に必要な経費を確保」となっている。
ここで要求されている細目は以下のとおりだ。
・救難飛行艇(US-2)[1機] の調達
・軽装甲機動車[38両]、NBC偵察車[1両]、96式装輪装甲車[8両] の調達
CH-47JAとUH-60JAは陸自用のヘリコプターである。これらが災害出動で用途廃止になるほど損耗したとは思えない。なぜ補正で調達するのかといえばオスプレイの調達(4機、447億円)でヘリ関係の予算が圧迫されたためと考えられる。来年度の政府予算では陸自のオスプレイを除くヘリ調達はゼロ円である。
そもそも、来年度の概算要求ではオスプレイを12機、1321億円を要求していた。陸自のヘリ調達予算は通例では300億~350億円程度であり、この金額がどれだけ多いかが分かるだろう。さすがにそれを447億円に減額したものの、これでヘリを調達する余裕がなくなり、本予算ではゼロ円になった。そのため補正予算で要求したのだろう。
なぜ同じ機体を本予算と補正に分けて調達するのか
UH-60Jは航空自衛隊の救難ヘリコプターだ(UH-60Jは海自も運用している)。これについて防衛省は調達理由を以下のように説明している。
「航空自衛隊の救難ヘリコプターの減勢に対応するため、平成26年度当初予算において3機の取得に係る経費を予算化(3国)していたところ、自衛隊の災害対処能力の回復・向上のため、歳出化経費を前倒して補正予算に計上し、企業に早期に支払いを行うことで製造工程の進捗を図り、必要な装備品等を着実に取得するもの」
ややわかりにくいが、3国というのは3年国債で、3年分割支払いで予算化したという意味だ。つまり、まだ執行されていない分を本年度の補正で支払うという意味だ。3年分割で3機なので、年に1機の調達という勘定になる。そうであれば本年度の補正予算では1機分の金額が要求されることになる。
だが空自のUH-60Jは概算予算で8機が要求され、政府予算でもそのまま8機が要求された。例年この機体は2機程度調達するのが普通だが、来年度予算では、海自のSH-60K17機と合わせて大量調達することで調達単価を下げると説明されている。
来年度予算で調達単価低減のために8機も大量調達し、さらにそのうえ既に発注された機体についての費用を前倒して支払う緊急性は存在しないはずだ。
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