このように来年度の防衛予算の本予算と本年度の補正予算が一体化している。新聞などのメディアは「平成28年度予算案の防衛費は、前年度比1.5%増の5兆0541億円で防衛費が初めて5兆円を超えた」と報道している。
だが、実質的に既に本年度の防衛費は東日本大震災以来、防衛予算と東日本復興特別会計の防衛関連支出、防衛省の補正予算が一体化しており、これらを加えれば、すでに防衛予算は5兆円を超えている。これは1年前の記事でも指摘したとおりだ。
補正予算を本来の役割に戻すべき
繰り返しになるが、本年度の補正予算1966億円中、本来の意味での補正予算と認められるのは544億円で、残る1422億円は本来、来年度の防衛省予算の本予算で要求するべきものと考えられる。
この1422億円を来年度の政府案の防衛費と合わせるなら、5兆0400億円ではなく、約5兆1800億円となり随分と増える。防衛費の多寡やその内容を論ずるならばこれをベースに行うべきだ。
メディアは防衛予算の本予算だけを報道しがちである。これがあたかも防衛予算のすべてであるかのように報道していることも多い。しかし、それでは実質的な防衛予算を把握できないし、精査もできない。
本稿は防衛省を批判しているわけではない。こうした予算のつじつまあわせを許している政府、及び与党の責任である。補正予算を本来の役割に戻すことで、これ以上の予算の不透明化を避けなければならないだろう。
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