地産地消ブームで「切り花」ベンチャーが熱い

投資家も注目する米ファームガールの強み

また投資家らは、海外の生産者から花を安く仕入れることも求めたが、これもステンベルにとっては問題外だった。「輸入品を使うつもりはない。輸入品のラインナップを作る気もない。消費者の反応を見るための試験販売をするつもりもない」と彼女は言う。「わが社の経営理念にそぐわないし、ビジネス的にも正しいこととは思えない」

1990年代から減り続ける切り花農家

さて、アメリカの切り花生産者とじっくり話をするとたいてい出てくるのが、1991年に施行されたアンデス特恵貿易法の話題だ。南米諸国において、麻薬産業から切り花栽培を初めとする合法的な産業への転換を図ることが目的の法律だったが、輸入関税が撤廃されたためにアメリカ産の切り花は南米産との競争力を失った。

カリフォルニア切り花委員会によれば、アンデス特恵貿易法のためにアメリカの切り花農家のほぼ半数が生産から手を引いた。1990年代初めには切り花農家は全米で500軒を超えたが、今では200をかろうじて超える程度だ。

南米の切り花農家は「労働力や天候や日照の条件をうまく利用している。つまり自然という意味でも文化的にも有利だ」とクロンクィストは言う。「それに米政府からも助けられている」

生花店にとって、輸入には利点がある。「国内生産だけでは需要をまかなえない。だから世界市場というものが存在する」と、米フローリスト協会のピーター・モラン会長は電子メールで取材に答えた。「また花によっては、国内の生産地では1年中収穫できるとは限らないという季節の問題もある。だから生花店では国内産と海外産の両方を使うのだ」

また、価格の問題もあるとプリンスは言う。米国内で販売される生花の80%が輸入品なのは「卸売業者が仕入れるからだし、小売業者からの需要があるからだ。そして価格も安い」

輸入品の広がりは、残る切り花農家の経営にも大きな影響を及ぼしてきた。

「うちはかつては全米一のカーネーション農家だった」と言うのは、サンフランシスコの南140キロ、カリフォルニア州ワトソンビルでキタヤマ・ブラザーズ農園を経営するロバート・キタヤマだ。

ファームガールズフラワーズで働く女性たち(写真:Carlos Chavarria/The New York Times)

ここは1948年に始まった家族経営の農園で、かつてはバラの生産でも全米トップクラスだったという。だが安い輸入品が米市場に流入するようになると、キタヤマは栽培作物をユリやキンギョソウといった輸送の難しい花へと切り替えた。

ステンベルはキタヤマが生産する花、特にキンギョソウのファンだ。ファームガールは農園にとって上得意だとキタムラは言う。

「小規模農家であっても切り花栽培に未来はあると信じられるのは彼女のおかげだ」とキタヤマは言った。

(執筆:Gloria Dawson記者、翻訳:村井裕美)

(c) 2016 New York Times News Service
 

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