あのトヨタが自動運転で頼った「黒子の正体」

ベンチャーの技術が東京オリパラ車両に採用

トヨタは2016年にアメリカ・シリコンバレーにトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)を設立。自動運転向けの人工知能(AI)の研究開発を進めている。イーパレット向けOSを内製できるぐらいの技術力があるはずだが、ティアフォーに委ねたのはなぜか。

開発を担当したトヨタCVカンパニーの西谷暢主幹は「決め手の1つは実証実験で一番実績があったこと」と明かす。世界の注目を集める東京オリパラでは絶対に失敗は許されない。トヨタは2017年秋に開発をスタート。2019年秋までの2年間で確実に車両を作り上げるためには、内製の技術にこだわるよりも、実績がある企業の力を借りた方がいいと考えた。自動運転技術を持つ複数のサプライヤーの中から、自動運転システムや車両の開発経験が豊富なティアフォーに白羽の矢を立てた。

2018年にはトヨタも参加するベンチャーキャピタル(VC)、未来創生ファンドがティアフォーに出資。今年に入ってからは損保ジャパン日本興亜など6社が第三者割当増資を引き受け、すでに累計資金調達額は123億円に達している。

現在の企業価値は、東洋経済の試算では500億円規模とみられる。VCを通じた出資でトヨタとティアフォーが結びついていることは知られていたが、両社がどんな協業をしているかはこれまでベールに包まれていた。

実証実験は10万km以上に上る

そもそもティアフォーの技術は何がすごいのか。同社は現在日本では地方を中心に63地域、海外では10カ国で自動運転実証実験の実施や支援を行う。国内の公道における実証実験の総走行距離は10万kmを超える。空港など限定エリアでの低速走行、時速30~40kmでの市街地走行、高速道路などさまざまな状況に対応する。トヨタが特に注目したのは、冒頭に紹介した「正着制御」と呼ばれる技術だ。

選手村ではパラリンピックの出場選手も多数乗車する。バスからバス停にスロープを渡すとはいえ、バス停に極力近づけるセンチメートル単位の精緻な車両制御が求められる。ティアフォーの技術では車両とバス停の間隔を「一番近づいて10センチではなく、一番離れても10センチ」とされるほどの精緻な制御がつねに可能だ。

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