グーグルが熱中するマインドフルネスの正体

心を落ち着かせ、ネットから離れてみよう

実際、私が所属するグーグルでも、2006年に私が立ち上げた社員向けプログラム「ヨグラー」(ヨガの精神を用いたプログラム)から始まり「マインドフルネス」を取り入れて以降、良い効果が出ている。この20年間の研究によって科学的に実証されたさまざまなメリットが見いだされたことで、ITやビジネス分野に携わる人々から注目を集めるようになった。

グーグルだけでなくフェイスブックやインテル、マッキンゼーといった企業のほか、米国海軍やペンタゴン、米国農務省森林局などの政府機関の研修でも取り入れられている。また、イギリスでは、国会議員が投票を行う際にマインドフルネス瞑想を行っているし、幼稚園など教育機関でも積極的に取り入れた結果、子どもたちのいじめや差別が減っているとの報告も上がっている。

なぜ、いま、マインドフルネスがもてはやされるのか、そして、拙著『リセット Google流 最高の自分を引き出す5つの方法』でも紹介している、これからの時代、最強のパフォーマンスをつくり、マインドフルネスの効果を高めるうえでも必要なインナーネットの使い方について、紹介しよう。

マインドフルネスとはいったいどういうことか

私が生まれ育ったインドでは、瞑想やマインドフルネスは「あるべきもの」だ。インドでは、瞑想は心に浮かぶ思考や物理的な世界という幻影から離れ、神の本質に近づくために行い、マインドフルネスはマインドフルな状態につねに身を置くために行う。マインドフルな状態とは、「今」というほんの短い時間、あなたがかかわっている行動や体験、つまり「ここ」に全身全霊を捧げることである。

「いま(今)、ここ」を意識する、それだけで見えてくるもの、感じることは変わってくるはずだ。

マインドフルネス瞑想は、自転車レースのために体を鍛えながら精神を鍛えるようなことだ。夏季オリンピックでずっと実施されているため(当然、今年のリオ・オリンピックもだが)、目にしたことのある人も多いだろうが、自転車レースは体力だけでは乗り切れない過酷なレースである。完走するために身体的持久力を鍛えるとともに、レースを組み立てるために感情的知性を磨く必要があるし、さらに認知機能や思考の明晰性、高い集中力が求められる。どれが欠けても、レースの勝者となるのは難しい。

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