カヤックがウェディング事業を始める理由 「面白法人」はどこまで本気なのか?

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さらに柳澤CEOは「結婚式にはクリエイティブな要素がすごく重要だ。たとえば、発光するウェディングケーキを作るとか、デジタル技術を使って結婚式場を面白くできるクリエイターも社内に沢山いる」と、サービスの外枠作りだけでなく、コンテンツ面も含めた既存事業との相性の良さを強調する。

カヤックの柳澤大輔CEO(左)とプラコレの武藤功樹CEO(右)。武藤CEOは「ウェディング事業はブランドイメージが大切。しっかりと立ち上げていきたい」と話す

ウェディング事業は、昨年11月に設立した子会社「プラコレ」を通じて運営する。カヤックは55%を出資。スマホゲームなどを展開するエイチームの子会社など、2社でウェディング事業を経験した武藤功樹氏が45%を出資してCEOに就任した。

武藤氏は「結婚式離れと言われるが、思ったような式にならないなど、全体的な満足度が低いことが最大の要因だ。プランナー選びから挙式の検討を始める仕組みは、先に式場を決めるよりも取っつきやすく、満足度向上にも直結する」と自信を見せる。

本当に「面白く」なれるのか?

プラコレは、カヤックが上場後では初めて設けた子会社で、込められた思いは大きい。これまでカヤックは、社員が毎月サイコロを振り、出た目のパーセンテージを上乗せして支給する「サイコロ給」などのユニークな社内制度が「面白法人」の象徴として話題になることが多かった。

カヤックは「サイコロ給」など、ユニークな制度を持っている

柳澤CEOは「良くも悪くも、色物として見られることもあるが、面白いことを増やして面白がって生きる人を増やしたいと、理念追求型の企業として事業に愚直に取り組んでいる」と述べる。

ただ、ゲームへの依存が目立つ事業面では、これまで「面白法人」としての存在感を十分に示してきたとは言いがたい。

今回のウェディング事業は、多種多様な個性に応じた結婚式を実現し、世の中に面白さを増やそうとする理念が込められている。プラコレで実現した結婚式が話題になるなどして、事業面でも「面白法人」らしいと認められるようになるのか。その試金石にもなりそうだ。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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