エコカー向け有望のパワー半導体、昭和電工がSiCウエハを増強
半導体の基板材料として知られるシリコンウエハ。地球上に存在する元素の中で酸素に次いで多いシリコン(Si)を磨き上げるこの材料は、あらゆる半導体に使われている。
ただ、自動車や鉄道車両、産業機器、家電製品などの電力制御用として、今後の需要拡大が期待される「パワー半導体」においては、新たな素材が存在感を増しつつある。炭化シリコン(SiC)を用いるSiCエピタキシャルウエハ(=写真=)がそれだ。
日本勢のうちこの分野の大手が、総合化学メーカーの昭和電工である。昭和電工は8月末、4インチ径SiCエピタキシャルウエハの生産能力を従来の2.5倍に当たる月産1500枚まで増強した。
SiC系ウエハを用いるパワー半導体は、Si系に比べ高電圧大電流に耐え、高温環境下でも動作する。「演算」や「記憶」といった働きをするLSI(大規模集積回路)などの半導体と違って、交流を直流にしたり、電圧を変動させたりといった電源(電力)の制御や供給を行う働きを持つパワー半導体に適した性能だという。
SiCパワー半導体は、とくにモーターの回転制御などに用いられるインバーター(直流電力を交流電力に変換する装置)向けに大きな需要が期待されている。すでに一部家電製品や新エネルギー分散電源での実用化や地下鉄車両への試験搭載が始まっており、今後は電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などエコカーへの搭載も進むと想定されている。
昭和電工は設備増設と生産技術の向上によって、今回の能力増強を果たした。今後は口径の大型化などを目指していく方針だ。
(武政 秀明 =東洋経済オンライン)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら