液晶製造装置、中国「爆買い」需要の視界不良 旺盛な需要はいつまで続くのか
さらに2018年までには7工場が稼働する見込み。BOEの合肥工場(10.5世代)は、シャープと鴻海(ホンハイ)精密工業の合弁である堺工場(第10世代)を超え、世界最大の液晶ガラス基板を扱う。TIANMAは武漢の工場(6世代)で、スマホ向けに高精細の低温ポリシリコンパネルを製造する。いずれも最先端の工場だ。
大手メーカーの投資額は合計で3兆円を超える規模となる。中国は2018年には台湾や韓国を抜き、国別の生産能力で首位に立つ見込みだ。
果敢な設備投資の背景には、中国政府の強力な支援がある。政府は2015年に公表した「中国製造2025」で世界の製造業をリードすると宣言、半導体や液晶など基礎部品の強化を掲げた。製造業に対する資金面の支援拡充や税負担の軽減が盛り込まれている。現在建設中の工場には、一部、市が出資している。
積極投資、爆買いはいつまで続くのか?
政府の積極的な支援について調査会社テクノ・システム・リサーチの林秀介氏は、「増産により液晶テレビの価格を下げることで、新興国向けの輸出を拡大する狙い」と分析する。
ただし、新工場の乱立で、大型液晶パネルはすでに供給過剰の状態だ。林氏によれば、32インチテレビ用の液晶価格は、製造原価とほぼ同水準まで落ち込んでいるという。いびつな積極投資は、ひとたび政府の支援がなくなれば、大幅に落ち込む可能性がある。
爆買い需要に沸く日本の製造装置メーカーだが、喜んでばかりいられない。中国の投資動向をにらみつつの難しい舵取りを迫られている。
(「週刊東洋経済」2016年1月9日号<4日発売>「核心リポート06」を転載)
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