朝方、車掌のアナウンスで目が覚める。「先行の貨物列車が小動物とぶつかったため、この列車遅れております」
ふと気が付くと、A子はすっかり着替えて降りられる準備をしていた。もうすぐ小田原。「なんか小田原で新幹線に振り替えてくれるっていうので私、小田原で降りるわ。その方が会社に早く着けるし。じゃあね、バイバーイ」
旅の終わりは突然に
あっけにとられた私を残し、女ふたり旅は突然の終了を迎えた。
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この方向幕は初めて見た
結局サンライズ出雲は東京駅まで行けず、品川止まりになった。通勤ラッシュの中、東京駅まで行き、駅弁を買って帰途につく。
私は旅の余韻をしばらく楽しみたい方だが、彼女はそのまま会社。頭をすぐに切り替えなければならないのだ。仕方ない。
近い存在でも、これだけ感覚が違う。旅の楽しみ方も人それぞれ、それぞれの価値観の旅で良いのだと思う。道中、驚かされることも多々あったが、A子に対しては気を使うことがないのがとても楽だ。旅は一緒にいて楽な人とするのが一番だ。再びふたりで旅に行きたいか考えてみたが、たまにはいいな、と思った。
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