ディー・エヌ・エーは想定以上に出足好調でコンプガチャ廃止の影響こなす。ただ追加規制の余地残り、通期なお不透明
ソーシャルゲーム大手、ディー・エヌ・エー(DeNA)の今2013年3月期の第1四半期(12年4~6月期)は、売上収益が475億円(前年同期比37.4%増)、営業利益183億円(同22.4%増)となり、会社側が6月14日に発表した従来計画を上回った。同社は今期から国際会計基準・IFRSを採用している。今回、前期の第1四半期実績についてもIFRSベースで開示した。
DeNAの第1四半期は、ゲーム上で行うくじ引きの一種、コンプガチャを5月中に廃止した影響を受けたが、開発会社との協業型ゲームを中心に課金収入が拡大。6月から行っている青少年ユーザーへの月額課金制限の影響も軽微だった。
8月9日に都内で行われた決算説明会で、守安功社長(上写真)は「コンプガチャ廃止や青少年ユーザーへの月額課金制限を行った後も、(ゲーム上の仮想通貨である)モバコインの消費は月次で横ばいをキープしている」と説明。業界大手6社のガイドライン策定を受け、6月から順次ガチャアイテムの出現確率を表示しているが、「足元も、モバコインの消費が減少する傾向は見られない」(守安社長)という。
とはいえ、通期の見通しは依然、楽観視できない。会社はタイトル別の収益を開示していないが、第1四半期にDeNAの業績を牽引したと見られるスクウェア・エニックスとの協業タイトル「ファイナルファンタジー ブリゲイド」や、バンダイナムコゲームスによる提供タイトル「ONE PIECE グランドコレクション」は、ともにスクウェア・エニックス、バンダイナムコゲームス側が控え目な予想を立てている。
バンダイナムコホールディングスとスクウェア・エニックスの首脳は、それぞれの第1四半期決算発表の場で、「コンプガチャ廃止の影響は(確率を表示したうえでガチャをまとめて行う)パッケージガチャやイベントの開催頻度向上でしのいだが、国内市場はそろそろ厳しい」(バンダイナムコホールディングスの石川祝男社長)、「新しいタイトルの投入は、市場動向が読めないので、都度見直ししている」(スクウェア・エニックスの松田洋祐取締役)と指摘。プラットフォームを運営するDeNAとは温度差がある。