三菱樹脂がセパレーターの能力倍増、EV電池向けで狙う逆転の勝算

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ただ、民生用(個人向け電子機器用)などを主体としてきたリチウムイオン電池がEVやHVといった車載用に大幅に拡大する可能性を秘める中で、これまで民生用で強かった電池材料メーカーも、車載用でその優位性を保っていられるかどうかの保証がない。それが、下位メーカーが積極的に動いている理由だ。

民生用は市場の成熟化とともに材料に求められる特性がほぼ決まっているが、車載用はまさに立ち上がり段階で性能特性が定まっていない。民生用に比べてかなり巨大な電池となるため、発熱反応や寿命特性なども変わる。車載用のリチウムイオン電池が拡大する過程では、民生用電池で有利だった材料の特性や経済性が車載用にそのまま当てはまらず、別の材料が有利になるかもしれない。

ここに後発組の食い込む余地がある。セパレーターの場合、民生用ではポリエチレン(PE)を使う旭化成グループや東レグループの湿式タイプが強いが、より低コストで耐熱性の高いポリプロピレン(PP)を用いる乾式タイプが、現時点では車載向けで高いシェアを有しているとされる。

セパレーターは高熱時に穴が閉じることで電極のショートを防ぐ。民生用の場合は耐熱温度が低いことが、穴を閉じる機能の面で有利だった。だが、自動車の場合は安全性がより重視され、耐熱性の高いPPを使うほうが設計しやすいという話もある。旭化成もこれを認識して、乾式タイプの開発を進めているぐらいだ。

三菱樹脂の「セパレント」は、高耐熱を特長とした乾式タイプのセパレーター。これを武器に車載用での採用拡大が進む可能性もある。ただ、先行メーカーも防戦に動いているため、性能特性の向上やコストダウンなどが勝負のカギとなりそうだ。

(武政 秀明 =東洋経済オンライン)

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