グローバル人事の「目」(第5回)--現地キーマンを取り込む手法とは?

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「これまで前の戦略通りに仕事をして成果を出してきた。成果が出ているのになぜ戦略や仕事を変えなければいのか?理由を聞いても答えてくれない。変える理由がわからないのでどう変えればいいかわからないのですが?」・・・

日本企業らしく新社長が訪問する前に、駐在員から海外拠点の社員全員に対し、繰り返し新社長の戦略について伝えていたにも関わらず、こうした質問が出たのである。

そこで、同行したグローバルコミュニケーション室のメンバーを中心にプロジェクトを立ち上げ、他のグローバル企業がどのように戦略を徹底しているかを調べた。その結果、ワークマットが有効だという結論に達したのである。

早速「なぜ成果が出ているのに戦略や仕事を変えなくてはいけないか」を理解させるため、社会、業界、S社で起きた出来事や商品を過去、現在、未来の3段階で整理するワークマットを作成し、プロジェクトメンバー自ら海外現地法人に赴き、ワークショップを実施した。過去の戦略や仕事のやり方はどんな背景から見て正しかったのか、未来を考えるとなぜ戦略や仕事のやり方を変えなくてはいけないのかをワークマットを通して議論することで、新社長の戦略をブレなく伝えることが出来た。

ワークショップの後には「今までの戦略を伝えるワークショップは曖昧な戦略を一方的に伝えられ、焦点が不明確な議論を行っていたので、もやもやするだけで腹落ちしなかった。しかし、ワークマットを活用することで楽しみながら、なぜ戦略を変えなくてはいけないのかよくわかった」という声が圧倒的であった。

このワークショップ1回にかかる期間はたった1日。ワークマットはコミュニケーションの裏にある意図を可視化させることが出来るので、短期間で現地キーマンに戦略を納得させ、協力を取り付けることが可能となる。グローバルコミュニケーションが苦手な日本企業の駐在員には強い味方となるのでお勧めである。

松本利明(まつもと・としあき)
人事ジャーナリスト、コンサルタント、HRストラテジー代表、MSC(マネジメントサービスセンター)エクゼクティブアドバイザー、プライスウォーターハウスクーパース、マーサー・ジャパン、アクセンチュアのプリンシパルを経て現職。外資系・日系の大手から中堅企業までの組織・人材マネジメント改革に従事。クライアント数は18年間の累計で300社を超える。著書に 『M&Aを成功させる組織・人事マネジメント』(日本経済新聞社)。寄稿、講演多数。

 

 

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