沿線の「地盤沈下」を止めろ!西鉄が打つ一手 一見「畑違い」な分野にも、参入の意味がある
また、同じオフィスをシェアする人によってコミュニティが形成されるのもコワーキングのメリット。先輩起業家や、同じ想いを持って活動している人とのコミュニケーションが、起業に伴う課題を乗り越える力になりうる。さまざまな専門性を持つ人が集まるため、コラボレーションによる新たなビジネスの誕生も期待でき、各方面からの注目が高まっている。
現在「天神COLOR」には定員の半数程度が入居しており、加えて数人(社)が入居を検討中。スタートアップの加速を図るため、7月からは起業家による講演や、参加者のビジネスについてのメンタリングなどを行う、月2、3回程度のプログラムも実施している。
西鉄にとってベンチャーを支援するメリットはどこにあるのだろう。同社経営企画部の秋澤壮一部長は「福岡に新しいビジネスが生まれれば、そこで働きたいという人が集まって、街に活気が生まれる。ベンチャー支援も、街づくりの一つの形だと考えています」と語る。
12月には、ベンチャーによる事業プレゼンテーションコンテストがスタート。その中から、西鉄の新規事業や既存事業のブラッシュアップにつながる「タネ」が生まれるかもしれない。
「あまおう」の産地で始まった、もうひとつの新事業
一方、西鉄大牟田線沿線の筑後地方では、まったく違ったタイプの事業がスタートしている。西鉄と全国農業協同組合連合会(以下、JA)の持ち株会社として、今年3月に誕生した新会社「NJアグリサポート」だ。
筑後地方は福岡県内でも農業従事率が高く、高齢化や後継者不足による就農者の減少など、沿線の中でも人口減少が著しいエリア。そこで同社は「福岡県の農業生産基盤の維持拡大と就農者の所得向上、農業経営の安定化」を目標に、農産物の生産・加工・販売、そして農業経営・生産技術の指導を行っていく。西鉄が運営を担い、JAは農業資材やノウハウの提供を担う形だ。
同社が拠点とする三潴郡大木町は、ブランド苺として知られる「あまおう」の産地で、なかでも1ヘクタールあたりの収穫量が多い地域。優良生産者の持つノウハウを可視化することで、知識や技術を継承し、さらにICTの活用で農家の生産性と収益率アップを目指すという。
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