沿線の「地盤沈下」を止めろ!西鉄が打つ一手 一見「畑違い」な分野にも、参入の意味がある

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西鉄がスタートアップや農業の支援に力を注ぐ理由とは?(写真:ジョイエッリ / PIXTA)

福岡市の中心地・天神にあるビルのワンフロアに、デスクや椅子が並ぶワークスペースとミーティングルームを備えた空間がある。ここは一企業のオフィスではなく、起業を目指す人や、起業したばかりの人が集まるコワーキングスペース。西日本鉄道が運営する「天神COLOR」だ。

西日本鉄道(以下、西鉄)と言えば、福岡県を中心に総路線距離106.1kmの鉄道事業と、車両数2836台(グループ内路線バス・2014度末時点)で全国1、2を争うバス事業で知られる大手私鉄。1908年に設立された「九州電気軌道」がその前身である。

そんな歴史を持つ会社が、なぜベンチャー支援に力を注ぎ始めたのか。

軌道に乗せるまでのフェーズを支援

コワーキングスペース「天神COLOR」。起業家のベースキャンプとして、イベントなども行われている

「グローバル創業・雇用創出特区」に認定されたことも相まって、福岡市では起業促進の気運がますます高まっている。

起業には準備段階から乗り越えなければならない課題が多く、そこに一人で立ち向かうことが大きなハードルになっている。そのフェーズを乗り越え、ビジネスを軌道に乗せる後押しとなるよう、市をあげてさまざまな取り組みが行われている。

このコワーキングスペースも、そんな取り組みの1つだ。西鉄・政策金融公庫・創業支援団体の協働により、オフィス空間の提供だけでなく、起業家の育成やスキルアップ・事業拡大の支援、資金相談など、創業から拡大期にかけ、スタートアップのサポートを一貫して行う拠点として、今年6月に誕生したものだ。

オフィス空間を共有するコワーキングスペースは、個人でオフィスを構えたり大型の事務機器を揃えたりという負担を軽減でき、特にスタートアップ期の起業家にとってありがたい存在だ。

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