大規模デモ勃発の中、大飯原発が再稼働、それでも脱原発へ「一歩前進」の評価も
30日には札幌や、大飯原発で事故が起これば被害が及ぶとされる岐阜県大垣市などで抗議行動が行われ、それぞれ数百人の市民が集まった。
福島第一原発に近い福島県浪江町出身で、大垣市の抗議行動に参加した保育士の吉留政子さん(49)は「安全だと言われて育ってきたがその幻想が崩された。原発の安全に絶対はない。子どもや孫の世代に負の遺産を引き継ぎたくない」と参加の理由を語る。再稼働当日の7月1日には新宿駅近くのアルタ前でもデモが行われた。
大飯原発前には京都や東京からバスツアーが組まれ抗議行動に数百人の市民が集結。市民が車で作ったバリケード、警察のバリケードなどが原発入り口近くを幾重にも重なったという。東京から駆けつけたある参加者は「参加者は若者が中心で、雨がふりしきるなかヒューマンチェーンを作り再稼働反対の声を上げていた」と話す。
歴史的な規模となった官邸前デモ
6月29日の官邸前デモの参加者は日本の反原発デモ史上、最多数とみられる(表参照)。そのため、再稼働撤回という主張は実現しならなかったものの、脱原発へは「一歩前進」と見る人もいる。
29日の官邸前デモに札幌から参加した市民団体代表の泉かおりさん(56)は「会社帰りのサラリーマンや子ども連れの母親など、『反原発の常連』ではない人たちがたくさん参加しており、運動の広がりを感じられた」と話す。泉さんは、今後は選挙などで直接的な行動を起こすことも必要として候補者擁立を検討している。福島から県外に避難した女性などから立候補の手があがっているという。
7月1日の新宿でのデモを主催したリサイクル店「素人の乱」店主の松本哉さん(37)も「昨年のデモでは原発事故への驚きから参加した人が多かった。だが今回は、再稼働を推し進めた野田首相や原発推進派への強い怒りを感じる」と質の変化を評価する。