真冬でも暖房を使わない「地下鉄」があった! 都心や北国の路線でも送風で乗り切る

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札幌市営地下鉄の車内(写真:ワタナベ / PIXTA)

暖房を使わない地下鉄は東京だけではない。冬の寒さが厳しい北国の大都市、札幌の市営地下鉄は、昨冬は原則として車内の暖房を使わなかった。今年の冬も、日中の気温がプラスの場合は暖房を使わない方針だ。

地下鉄を運営する札幌市交通局は2014年12月から今年春までの間、乗客が少ない早朝・深夜の時間帯と、高架を走る区間などの一部を除いて地下鉄車内の暖房を原則として停止した。目的は節電で、電気料金が値上げされたことも背景にある。

気象庁のデータによると、札幌の昨年12月と今年1月、2月の平均気温はいずれも氷点下で、最も低い1月はマイナス1.5度。同月の平均最低気温はマイナス4.6度で、2月には最低気温がマイナス10度を記録する日もあった。乗客や電車からの熱がこもりやすいとはいえ、乗客から「寒い」との声はなかったのだろうか。

真冬の暖房停止に「ちょうどいい」

今年2月に同交通局が行った聞き取り調査の結果では、79%が暖房を使っていない車内の温度について「ちょうどいい」、5%が「暖かい」と答え、寒いと回答したのは16%だった。

同交通局によると、地下区間の冬の車内温度は暖房を使わなくても平均16~19度になる。以前から冬の時期は外の寒さに合わせた厚着の乗客が多いため「車内が暑い」との意見も寄せられており、暖房停止は「基本的にご理解いただけたのでは」(交通局)という。一方、外を走る高架区間では暖房を使わない場合、車内温度が10度前後と低くなるため「寒い」との意見があり、途中から一部区間では暖房を使うことにした。

今冬も昨年とほぼ同様、暖房は早朝・深夜と一部の区間を除き停止する方針だが、今冬は日中も最高気温がマイナスになった場合は3時間に1回、間欠運転するという。

今年の11月は全国的に気温が高く、気象庁の発表によると全国の20地点で平均気温が過去最高を更新した。12月~2016年2月の天候の予測でも、西日本・東日本は気温が平年より高い「暖冬」の見込みだ。自宅では暖かいヒーターやコタツが恋しい季節になってきたが、通勤の地下鉄車内は送風の入る日が続くかもしれない。
 

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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