アルプス電気社長「就任3年、利益9倍」の内幕 復活のカギは、シンプルなメッセージだった

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――当面の課題は何か?

今では非常にたくさんの引き合いが来ている。1、2年は間違いなく右肩上がりになるだろう。仕事が増える中でも、QCD(品質・価格・納期)、特に品質を確保しなければならない。各職場の生産性改善を進め、顧客の要求に応えていくことが大切だと思っている。

――長期的には、自動車は電装化が進むことが期待されている。今後の展望は?

自動運転やADASが普及する中で重要なことは、運転を妨げるような、難しい機能がたくさん増えてはダメだということ。われわれはシステムを作る会社ではないが、人が運転に関する情報を得るところのヒューマンインターフェース、センサー、コネクティビティを伸ばしていきたい。

人の触覚を通じて情報を伝える「ハプティック(触覚技術)」もそうだ。最初はゲームに搭載され、今は車にも展開している。車を運転しているとき、目は前方を見ているので、指のフィーリングで、ある程度エアコンやナビなど、操作ができなければならない。ハプティックは10年以上前から開発していて、国内ではアルプス電気の登録商標だ。

次の3年はさらなる変化がある

くりやま・としひろ●1957年生まれ。京都大学理学部物理学科卒業後、1980年アルプス電気入社。磁気デバイス事業部長、事業開発本部長、技術本部長などを経て2012年6月から現職。趣味は読書(撮影:大塚誠)

――完全自動運転になれば、インターフェースの必要性は減るのでは?

高速道路やパートタイムでの自動運転はできるが、フルタイムはできたとしても時間がかかるだろう。そのため、ドライバーの状態のセンシングなり、ヒューマンインターフェースというのは重要になる。

自動運転は、ドライバーが酔っぱらってようが居眠りしてようが運転できてしてしまうので、それは避けなければならない。ドライバーの状態の把握など、さまざまなセンサーを開発しているので、それを展開していこうと考えている。

――スマホは市場成長の鈍化が指摘されている。

スマホはコモディティ化し、買い替え期間も伸びていく。こうした変化を見据えて、カメラのアクチュエータに加え、センサーを重点分野にしている。長期的な課題として取り組んでいるのは、スマホと車載に次ぐ収益柱を作ること。省エネやヘルスケアといった産業機器のビジネスを育てていく。ただ、基本的な技術は変わらない。あくまでもHMI、センサー、コネクティビティの三分野で勝負していく。

――今年は3カ年計画の3年目。次の中期計画は何を目標に掲げるのか?

今考えているところだ。これまでは「とにかく仕事を増やせ」と言ってきたが、これからは中身を見ながら増やさなければいけない。また、この3年間はスマホが右肩上がりで伸びたが、次の3年間は変化が出てくる。新しいキーワードを考えていきたい。

        (「週刊東洋経済」2015年11月21日号 「この人に聞く」に加筆)

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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