――その一方で、変えなかった部分は何か?
企業文化、アルプスイズムは残そうと意識していた、漢字で言うと「誠実・挑戦・連帯」。この三つの文化を大事にしようと言ってきた。たとえば、挑戦において重要なのは加点主義。私に限らず、失敗して赤字を出した人でも、そこで成長した人はどんどん出世する、そういう会社だ。失敗と出世が連動していないことは、私自身もすごく感じている。こうした点は生かそうとしてきた。
――大幅に伸びてきたのは、スマホと車載向け部品だ。
スマホ分野はそれぞれの部品が順調に伸び、中でもカメラ機能に使われるアクチュエータが軸だ。だが、この部品はかねてからの問題事業だった。
もともとカメラモジュールを事業化したのは2000年代半ばで、当時はアクチュエータというよりも、センサーもレンズも付けたカメラモジュール一式で、国内のハイエンドケータイ向けだった。ただ、われわれの得意な技術ではなく、他社から購入する部品も多いため、強みを発揮できなかった。
そうした中、リーマンショックのときに事業を整理することになった。そこで、アルプス電気の強みは小型のメカトロ技術だということで、カメラのアクチュエータに絞ってビジネスをやり始めた。その後は、得意な金型や自動機の技術がスマホの拡大にフィットし、事業を大幅に拡大できた。
タッチパネルもそう。スマホやタブレットが普及する中で、中国、台湾などの新興国メーカーが参入し、過当競争に陥った。そこで、曲面のタッチパネルや薄いタッチパネルなど、他社にはできない技術に集中して開発してきた。それがハイエンドスマホで評価され、ようやくこの1、2年で世の中に出てきてくれた。
アクチュエータもタッチパネルも「こんなに赤字を出してどうするんだ」という問題児だった。だからといってやめるのではなく、そこから学び、改善を加えることで業績を伸ばす、加点主義の考え方が生きている。
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