【キーマンズ・インタビュー】「人材力日本一」を標榜する経営戦略の背景と施策--松居隆・損保ジャパン取締役常務執行役員に聞く

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そこで2010年度にコース別人事制度を廃止し、区分を一本化した。ただし転勤ありのグローバル職と、転勤なしのエリア職という区分けはある。グローバル職とエリア職は、転勤分の差はあるが、賃金体系そのものは同じだ。

そして2011年度から働き方を大きく見直す取組みをスタートした。要員のなかのグローバル職は、グローバルマーケットや新規成長分野に振り向け、既存の国内損保事業にエリア職である女性の活用を推進するものだ。フロント業務に就いた女性社員はこれまでのところ問題なく業務をこなしており、もともと損保事務に精通しているので代理店の評判は上々のようだ。今年4月には「女性中心の営業店」を18カ所新設している。

もちろんいくらシステム化によって効率化したと言っても事務は必要だし、8000人の女性がすべてフロント業務を希望するわけではない。しかし8000人が徐々にフロント業務をこなすようになれば、強力な経営資源になる。

--女性の活用だけでなく、女性を経営層・管理職層として育成しようとしていると聞きました。

「女性経営塾」を設置し、女性人材の育成に取り組んでいる。現在の女性社員約8000人のうち、今年3月現在の課長代理まで含めた女性管理職は約600名、その中で女性リーダー職は約80名であり、そこから選抜された16名が女性経営塾で学ぶ。方針は固有名詞で育てる選抜育成だ。

カリキュラムは10カ月の間に2泊3日の集団研修を6回やるハードなものだ。日常業務を離れ、定期的に集まり、経営層を目指す上で必要となる知識や視野の拡大、ものごとの判断・考え方を身に付けてもらう。また、会社の変革、改善課題についても議論を行い、最終的には経営層へプレゼンテーションする。

--女性の活躍を支援する損保ジャパンだけの制度はありますか?

育児休業制度、産前産後休暇、育児短時間勤務制度、シフト勤務制度、キャリアトランスファー制度などがある。育児休業制度の利用者は、2008年度286人、2009年度387人、2010年度475、2011年度585人と毎年拡大している。

キャリアトランスファー制度は2006年度に導入した。エリア職は転居転勤を伴わない職員であるため、この制度がなかった頃は配偶者の転勤などで転居する場合、退職せざるを得なかった。本人と当社の双方に不利益な結果だ。そこでキャリアトランスファー制度を導入した。

 

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