【キーマンズ・インタビュー】「人材力日本一」を標榜する経営戦略の背景と施策--松居隆・損保ジャパン取締役常務執行役員に聞く
4番目は「風土」だ。社風と言ってもいいだろう。自慢めくが社風には自信がある。外部評価でも、2013年卒の学生を対象とした東洋経済就職ブランド総合ランキングで18位になり、損保業界ではトップだった。なかでも魅力的な社風ランキングは1位との高い評価を得た。
--魅力ある人材づくりのポイントがわかった上で、どのような施策を実践されましたか?
4つのポイントがわかって、まず取り組んだのは人材を育てる社員の把握だ。利用したのは従業員の意識調査だ。役員を除く全従業員に対し定期的に実施していたが、2011年1月の調査から、一番自分を育ててもらった上司を2人あげさせ、その理由も書かせた。そして人材育成に優秀な結果を残しているマネージャーを「人材育成マイスター」として認定した。
現在の人材育成マイスターは約100人いる。マネージャー職は約2800人いるから28人に1人の割合だ。
このマイスター制度の発展形で、昨年度から「人材育成部長」という制度がスタートした。育成に実績のある50歳代の「育てる職人」6名を選抜し、全国のブロックに配置し、入社2~3年目くらいの若手社員の相談に乗る。定期的に自分の担当ブロックの支社を回り、個別面談をするものだ。まだ始めたばかりだが、評判は良いようだ。
「ポスト・経験」が重要だとわかったので、人事ローテーションも積極的に実施している。目標は30歳までに3つの仕事を経験してもらうこと。また外部企業に1、2年間出向する制度も作った。年1回の公募に4、5名の応募者がある。
人づくりは一朝一夕に効果が出るものではないが、中長期的には大きな成果が出るだろう。数年後が楽しみだ。
--女性活用に積極的に取り組んでいると聞きました。
女性活躍推進に従来以上に取り組み始めたのは2009年度からだ。それまではコース別人事制度であり、総合職約6000名、事務職約8000名だった。総合職はお客さまや代理店との折衝というフロント業務を担当する主に男性であり、事務職は内勤の女性だった。
しかし損保業界もITシステムなどの高度化が進み、内勤事務が効率化してきた。そこで女性事務職が新しい働き方を選べるようにしたいと考えた。