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『非常識な成功法則』を読み自前ビジネスへ業態転換

転機は、02年に神田昌典著のベストセラー『非常識な成功法則』を読んだことで訪れた。「本にはやりたくないことを書き出すように、とあった。書き出してみると下請けをやりたくないことがハッキリした」(林社長)。自前ビジネスを育成しようと、当時はやりのASP(利用料徴収型)事業を始めたものの1000契約の計画は20契約で頓挫した。

しかし、この失敗が成功へつながるのだから人生はわからない。ASP事業のために投資したサーバーを活用しようと、携帯電話向け公式サイト事業へ参入。効率的に数多くのサイトを運営する手法を確立することで、「着せ替え系」と呼ばれるジャンルでヒット作を連発した。

にもかかわらず、林社長は危機感を持った。「一つの事業に集中すればそのときは最も効率的に稼げる。しかし、ITの世界は技術の進化によって主役が一気に変わってしまうので危ない」。“勝手サイト”の増加などで、当時から公式サイト事業は将来が危惧されていた。実際、スマートフォンの普及で、今は完全に縮小モードだ。

事業の多様化を狙い、06年6月には収益モデルがまったく異なる引っ越し価格一括見積もりサイト「引越し侍」を開始。その後、結婚式場紹介を行う「すぐ婚navi」、中古車査定サイト「ナビクル」など、無料で消費者を集め、成功報酬や手数料を企業から得る情報サイトを複数展開した。今では全社売り上げの半分がこうしたライフサポート事業だ。「当たるか外れるかがわからないゲームとは異なり、ライフサポートは収益計画を立てやすい。安定基盤として重要だ」(林社長)。

公式サイトから始まったエンタメ事業でも、少数のヒット作に頼らない体制作りを怠っていない。公式サイトは300以上も運営。グリーなどプラットフォーム向けソーシャルゲームは100以上、スマホアプリは50以上販売する。現在、強化しているスマホアプリでは、「世界市場を視野に入れ、『ダークサマナー』に続く新タイトルの開発を進めている」(中内之公取締役エンターテインメント事業本部長)。

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