「2万円の呪い」があっても悲観視は不要だ

日本も米国もぼちぼちの投資環境が続く

前述のように、日経平均は6月と8月にザラ場で2万0900円超の高値をつけたが、両日の終値について日本経済新聞社が算出している予想PER(同紙に掲載されているものと同じ)をみると、それぞれ16.59倍と16.60倍だった。そこからEPS(一株当たり利益)を逆算すれば、1258円と1248円となる。これに対し、同様に先週末11月27日のEPSを計算すれば1270円となり、当時より今期の予想EPSは上方修正されている。ということは、PERでみて6月、8月並みに買われるだけで、日経平均は2万1000円を上回ることになる(1270円×16.59倍=2万1069円)。「2万円の呪い」にとらわれ、株式投資のペースをのろいままにしておく場合ではない。

一方で、株価の上昇を加速させるような要因も見当たりにくい。安倍政権は実業界に賃上げや設備投資増を働きかけ、経団連は法人減税の加速化と引き換えにそれに応じる構えで、一体この国はかつての共産諸国なのだろうかと、海外投資家からはため息が漏れる。まあまあぼちぼちな投資環境のなかで、まあまあぼちぼちな株価上昇を予想すべきなのだろう。

米国クリスマス商戦に与える利上げの影響

そうした流れの中で今週の株式相場については、一服する期間と位置付けたい。12月3日(木)にはイエレン米連銀議長の議会証言(上下両院合同経済委員会)が予定されており、12月4日(金)は11月の雇用統計が控えている。雇用統計がよほど極端に悪い内容(非農業部門雇用者数が前月比で減少するなど)でなければ、12月FOMC(12月15日~16日)での小幅利上げは既定路線であろう。したがって、雇用統計の数値の強弱は大勢に影響がないし、そもそも今年内の利上げ自体が相当織り込まれてしまっているので、雇用統計による米株価や米ドルの大きな波乱は見込みにくい。とは言っても、今週末に雇用統計が控えている、ということが、さしあたり投資家が様子見を行なう口実にはなるだろう。

また、米国は11月26日(木)の感謝祭を過ぎて、クリスマス商戦(感謝祭翌日からクリスマスまで)に入った。クリスマス商戦は1年間の小売売上高の2割程度を占めている。やや幅広く、11~12月の小売売上高については、NRF(全米小売業協会)は、前年比3.7%増を予想している。このところ米国の消費者は、セール末期になるほど値引きが進むとして、待ちの姿勢を強める傾向があり、商戦当初はセールの好不調が判然としない。また連銀の利上げが、商戦後半に影を落とすとの懸念もささやかれている。そのため、商戦の帰趨を見極めたい、という空気が広がりうる。

多くの海外投資家は、クリスマスに向けて大きくポジションを動かすような行動には出にくい。年末の損益の落としどころを見極めて、市況の変動に対応した微調整にとどめるだろう。この点でも、株価が動きにくくなってくる。米国で七面鳥(turkey)が感謝祭の食卓で大いに食された後、中東ではトルコ(Turkey)とロシアの緊張が強まっている。両国は過去何度も戦争を行っているが、露土戦争の再来はないだろう。しかし、どこで落としどころをつけるかは不透明だ。もともと中東情勢は国内株価には大きく影響しにくいが、かといって株価の好材料では決してない。

以上を踏まえると、今週は極めて動意に乏しい国内株式市況となりそうだ。大型株が動きにくい中、引き続き個別に小型株を物色する動きが続くだろう。今週(11月30日~12月4日)の日経平均株価は、1万9700円~2万0100円と、小幅レンジ内での推移を予想する。

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