マツキヨ、爆買いで死守した業界トップの座 再成長のカギは化粧品と地方のテコ入れ
2007年にマツキヨは業界に先駆けて中国人が多く利用する「銀聯カード」での決済を可能にし、化粧品や日用品が免税の対象に加わった2014年10月からは、繁華街を中心に免税対応店を順次増やしてきた。銀座・有楽町、幕張のアウトレットモール、そして羽田空港内店舗(フランチャイズ契約)など、免税売上高に特化した新業態にも挑戦している。
本国の友人や家族とネットで連絡を取りながら買い物をする慣習に対応し、2014年12月には店内での無料Wi-Fiも設置した。外国人スタッフが不在でも、指差しでコミュニケーションできるボードの設置や、免税手続きの簡素化もあり、実際に利用する観光客にとって、利便性は非常に高い。
マツキヨは中国や台湾において、「松本清」の表記で親しまれ、その知名度は単なる店の名前にとどまらず、今やブランドの粋に達している。その証拠に、マツキヨのプレミアム路線のPB(プライベートブランド)、「MKカスタマー」の商品を買い物リストに入れて指名買いする客も多いという。
膨大なビックデータでマーケティング
この人気を受けて今年9月には、中国アリババの運営する越境のeコマースサイト、「Tmall国際」への出店を果たした。毎年ネット上での大セールが行われる、11月11日の「独身の日(ダブルイレブン)」では、予想を大きく上回る売上高があったという。
日本のドラッグストア事情に詳しい台湾人翻訳家、鄭世彬氏によれば、観光客がマツキヨに行く前に必ずチェックするSNS(交流サイト)は「LINE」だ。マツキヨの公式アカウントに友達申請をすれば、店舗で使える割引クーポンが配信される。本来なら、日本人の若い女性客の取り込みを狙ったものだが、海外からも使用することができる。ネット上には、日本語表記の画面で設定する方法を事細かに説明してある台湾人ブロガーの記事に、10万件以上のブックマークが付けられている。
このLINEアカウントから得られた顧客情報は、マツキヨのマーケティングに存分に活用されている。その数、現在1360万人。これに、スマホアプリのダウンロード数280万人と、従来型のポイントカードの2200万人を足せば、3800万人ものビッグデータとなる(9月末時点)。同社では専門の解析チームを作り、同データを商品構成やPB商品の開発、さらには新規出店の立地選びにまで活用するという。データに裏付けられたインバウンドの取り込み戦略を練っていくというわけだ。
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