“震災関連死”は本当か、死因究明をおろそかにする日本--震災が突きつけた、日本の課題《2》/吉田典史・ジャーナリスト

「震災の直後に、数万に及ぶご遺体をすべて解剖するような国はないだろう。ただし、他の先進国ならば、その後の震災関連死と思われる遺体は解剖し、正確な死因を究明しようとする。日本は、それができていない」

岩瀬氏は、アメリカの歌手マイケル・ジャクソン氏やホイットニー・ヒューストン氏などの例を挙げた。2人の死に当たって、死因を正確に判定するために一定の月日を費やし、遺体の解剖が行われた。これは2人が著名人であるからではなく、アメリカでは当たり前のことなのだという。



■千葉大学法医学教室の解剖室、中央が解剖台


■遺体は解剖前にCT(コンピュータ断層撮影)にかける。解剖室のすぐ隣にCT装置があるのは全国でも少ない

“学び”がない、日本の社会

筆者は、疑問に感じた。ここ20年を振り返っても、死者が100人を超えた事故や自然災害などはいくつもある。北海道南西沖地震(1993年)、阪神・淡路大震災(95年)、中越地震(2004年)、JR福知山線脱線事故(05年)などである。
 
 多くの“死”に直面し、その都度、検死のあり方について検討を重ね、よりよいものに変えていくことができたのではないか。

岩瀬氏は「そのプロセスでは、確かに大きな学びはなかったのかもしれない。だが、体制は少しずつではあるが、変わりつつある」と言い、こう続ける。

「たとえば、警察庁が、新たに検視指導室を設置し、遺体の状況から事件性などを判断する検視官を増員するなどはしてきた。このように、以前に比べれば体制が整ってきたこともあって、昨年の震災では、大半のご遺体について検視・検案をすることができた」

しかし、検視・検案のシステムを他の先進国のレベルに引き上げることは、まだできていないと認める。

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