民放5局の見逃し番組配信「TVer」が残念だ 100万ダウンロードも喜んでいられない

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各局ともに、有料のオンデマンドサービスも行っているので、「無料で見せるなんてとんでもない!」という意見もあるかもしれないが、せっかくの見逃し配信の利点を使いこなせていない側面もある。

宣伝のチャンスを生かせていない

顕著なのは連続ドラマ。あらすじがわからないと、視聴者も離脱しやすくなる。全部を見せるのは無理だとしても、NHKの「5分でわかる『あさが来た!』」のように、短くてもあらすじを見せるような工夫をする方法もあるはずで、それを見て、面白そうだと食い付く視聴者も出てきて、結果的にはいい宣伝になりそうなものだ。

ラインナップに報道・ドキュメンタリーが1つも入っていないのもいかがなものかと思う。そうでなくとも、民放のドキュメンタリー番組は深夜の深い深い時間帯、みんなが寝静まった丑三つ時に放送されており、せっかくの労作なのに、もったいないったらありゃしない。そういう埋もれた番組に光を当てるいい機会とは、とらえていないようだ。ほかにも、過去の名番組枠などがあってもいいかもしれない。

TVerは、自分の見たい番組を登録(「マイリスト登録」)することができて、この登録数がわかるようになっている。たとえば、TBS系でヒットしているドラマ「下町ロケット」(TBS系)が約6万4000、「コウノドリ」約1万4000なのに対して、「結婚式の前日に」は約3700にとどまっている。

TBS以外の局でみると「遺産争族」(テレビ朝日系)は約5000、「オトナ女子」(フジテレビ系)が約7000、「偽装の夫婦」が約5500。なんとなく視聴率とも相関しているイメージで、これも一種の人気番組のバロメーターであり、視聴率に代わる新たな指標になる可能性も秘めている。

TVerは、番組名やタレント名を入れて検索するワード検索や、局別、ジャンル別(「ドラマ」「バラエティ」「アニメ」「報道・ドキュメンタリー」「スポーツ」「その他」)、放送日からの絞り込み検索も可能になっている。テレビ番組やタレントの話題、出演者の情報など、各ポータルサイトに飛び、注目記事が読めるようになるなど、テレビを見るうえで、便利な機能もある。

しかし、そんなことよりも、TVerの根幹である番組を充実してこそ、視聴者の支持も得られるというものだ。視聴者のためのサービスなのだから、局側都合で見せたいものを押し付けているように見えるのは、何とも残念である。

桧山 珠美 フリーライター

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ひやま たまみ / Hiyama Tamami

フリーライター。月刊GALAC「今月のダラクシー賞」、日刊ゲンダイ「これだけは言わせてくれ」、読売新聞「アンテナ」などでテレビコラムを連載。

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