三菱樹脂が農業ハウス向け高機能フィルムを中国で現地生産へ、海外でも初
三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱樹脂(本社・東京都千代田区)は6月19日、温暖な環境で農作物を栽培するために使う農業ハウス向けの高機能フィルムを中国で現地生産すると発表した。約18億円を投じて江蘇省に新工場を建設。2013年夏をメドに稼働する。人口減や農業従事者の後継不足などで停滞する日本の農業関連市場に比べて、成長余力の大きい地域へ積極的に打って出る。
三菱樹脂グループにとって、同製品では初の海外生産となる。中国工場は今年秋に着工。三菱樹脂が5月に全額出資(資本金8億円)で設立した「無錫菱農用薄膜材料科技有限公司」(江蘇省無錫市)を通じて、現地で農業ハウス向け高機能フィルムを生産・販売する。当初の年産能力は約4000tとなる見込みで、グループ全体(現行は日本で同約4000t)では倍増となる見込みだ。
中国で現地生産する農業ハウス用の高機能フィルムはポリオレフィンと呼ばれる石油化学系のフィルムで、多層構造と特殊な表面処理により約3~5年間使えるのが特長。中国で一般的に使用されている単層フィルムが1年程度に比べると耐久性に優れ、高機能品と位置づけられる。
中国では現在、こうした高機能タイプの農業ハウス用フィルムがあまり普及していないものの、施設園芸の近代化や大規模化などで、今後は市場拡大が見込まれる。日本の競合では住友化学も農業ハウス用高機能フィルムを中国で現地生産しており、需要拡大を刈り取りたい算段だ。
(武政 秀明 =東洋経済オンライン)
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