「鉄道&カーシェア」が出張族にうける理由 スマホで予約して24時間好きな時に利用

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カーシェアのステーションは、コイン駐車場の一角にある場合が多い。新富士駅でもすぐ横に黄色い看板が出ていた

「往復に列車を使えば、帰りの列車内でレポーティングも可能になる。鉄道を大動脈とすれば、我々カーシェアリングは毛細血管のようなもの。2つがしっかりとくっつくことによって、仕事や移動が効率的になる。それがデータからわかった」(内津氏)

こうして、「レール&カーシェア」という発想が生まれ、鉄道事業者に提携を提案。2013年4月にJR西日本の駅レンタカー事業を行うJR西日本レンタカー&リースとの提携を開始した。2014年からは「EX-ICレール&カーシェア」を開始し、2015年10月に、東海道・山陽新幹線の全ての駅周辺にステーション配置を達成した。

安上がりの「車中泊」として利用も

ステーションは原則無人で、車体に取り付けられたタッチパネルに予約した会員カードをかざすと解錠される仕組み

列車から降りた後の二次交通に困るのは、業務の時だけではない。カーシェアは金沢や熱海など観光客の利用も増えており、うまく利用すれば旅のツールとしても有効だ。

例えば、旅先で有名な飲食店を訪れる場合。飲食店は駅周辺にあるとは限らず、最近は公共交通では行けない店も多い。実際、筆者はかつて友人と山形を旅行した際、ある蕎麦屋へ行くためだけにレンタカーを借りたことがある。その店は駅から7kmほど離れており、タクシーは片道3000円。レンタカーを借りた方が安上がりで、時間も読めるというメリットがあった。

このケースでも、もしカーシェアリングがあればさらに安く利用できたはずだ。前もって予約しておく必要がないので、列車から心惹かれる車窓風景を見つけたら途中下車し、カーシェアを利用してその場所を訪れるということもできるかもしれない。

あるいは、こんなユニークな利用法もある。カーシェアでは、車をステーションから動かさなくてはいけないという決まりはない。そこで、車を停めたままプライベート空間として使う人がいる。深夜は割安なパック料金があるので、ホテルよりも安く済み、ネットカフェよりもプライバシーが保たれるので、電話をかけたりしても迷惑はかからない。

朝になったら車を動かし、朝食を食べに行くこともできる。かつて、若い旅人は駅や夜行列車で一夜を過ごし宿代を浮かせたものだが、カーシェアリングを使った新しい「車中泊」も面白い。

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