【産業天気図・業種別業績予想集計】「会社四季報」2012年3集--今13年3月期営業利益は20%増益に
「会社四季報」2012年3集(6月15日発売)のデータを基にした独自集計によると、今2013年3月期の予想営業利益は、前期比20%増となる見通しだ。前12年3月期の実績である同17.9%減から改善する。前期業績に大きな影響を与えた東日本大震災やタイ洪水影響がなくなることが大きい。ただ、円高定着で輸出産業中心に厳しく伸び率は決して高いとはいえない。
業種別にみると銀行・保険を除く29業種中、営業増益となるのは22業種。増益幅が大きいのは、鉄鋼(76.5%増)、輸送用機器(66.8%増)、その他製品(60.2%増)、電気機器(59.3%増)、金属製品(41.5%増)。業種の数でも増益・黒字転換組が勝り、国内産業を支える輸送用機器(自動車)や電気機器が改善するなど、産業界全体でも増益となる。
増益率が大きい鉄鋼は、鋼材市況が急落した前期からの反動増が期待できそうだ。この市況の底打ち、輸出再開が大きいが、大型合併やグループ再編が集中する特殊要因もある。輸送用機器は、震災からの挽回生産で反動増、エコカー補助金効果も後押しし、業績が急回復できそうだ。
一方、5業種が今期に営業減益・赤字となる。赤字が見込まれるのは電気・ガス。また、減益率のワーストは、鉱業(20.6%減)。続いて、石油・石炭製品(13.9%減)、医薬品(8.2%減)、ガラス・土石製品(8.2%減)の順で減益幅が大きい。
電気・ガスは業界18社で総額8425億円の営業赤字に転落。福島第1原子力発電所の事故の影響で全国の原発も相次いで稼働を停止、再稼働への動きも鈍い。このため、多くの電力各社で来14年3月期も赤字が見込まれる。また、足元の資源価格の下落を受け、関連業界の減益見通しも目立った。
■次ページに業種別営業利益・純利益予想の集計表を掲載