人口オーナス社会が到来、需給両面の活性化に加え、社会保障の抜本改革急げ

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したがって、保育所拡充など育児と仕事の両立支援はもちろん大切だが、真の少子化対策を突き詰めていくと、企業の新卒一括採用や年功序列、終身雇用の見直しにまで行き着く。

改革はできるのか

さて、ここで重要なのは、こうした対策をいかに実行していくかということである。

この点について、日本の政治の現状を考えると、悲観的にならざるをえない。よく言われるように、有権者に占める高齢者の割合が上昇しているうえ、投票率も高齢者ほど高いので、政治が高齢者に有利な政策を選択する傾向があるからだ。いわゆる「シルバー民主主義」の弊害である。このため、高齢者の負担増を伴う社会保障制度の改革は行われず、消費税増税も先送りされてきた。

法政大の小峰教授は、「人口オーナス対策を早急に実施すべきことは明らかなのに、現実の政治は逆行している。歴史を振り返れば、外圧がかかると日本は力を発揮して危機を乗り切ってきた。ギリシャのように財政が破綻してIMF(国際通貨基金)などからの外圧にさらされれば、消費税増税や年金支給額の削減を実現できるかもしれない」と語る。

政治主導が限界に来ている今、再び外圧に頼るしかないのだろうか。

(シニアライター:柿沼茂喜 撮影:大塚一仁 =週刊東洋経済2012年6月16日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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