業績予想非開示173社全リスト、「自由化元年」の情報開示“劣化”
上場企業の情報開示の劣化に歯止めがかからない。全上場企業3562社のうち、予想を開示しない会社が173社あり(3月決算のみ)、売上高、営業利益、経常利益、純益といった主要4項目すべてを予想非開示とした会社数は127社(3月決算以外も含む)と、初めて100社を突破した(震災などの特殊事情を除いたベース)。東洋経済の『会社四季報』2012年夏号(6月15日発売)の独自調査で明らかになった。
前期まですべて開示していたのに、今期から開示内容が後退した3月期決算会社は90社ある。この90社のうち、今期から4項目すべて非開示と大きく後退したのは32社。うち最も多いのは電力。関西電力、四国電力、北海道電力は原発の再稼働時期が未定であることを理由に挙げている。もともとすべて非開示の東北電力と九州電力も同様の理由を短信に書いている。
しかし、東京電力はすべて開示、北陸電力は売上高のみ開示している。同業他社が開示している以上、原発不稼働は非開示の理由たりえまい。
一部非開示に後退した会社のうち最も多いのが銀行。一部非開示に後退の58社のうち実に42が銀行で、経常収益の予想をやめた。
開示後退の温床は4月に始まった「業績予想の柔軟化」。東証など全国の証券取引所は決算短信での会社予想の記載を従来型の表形式に加えて、1株当たり純益のみ開示するなどの自由形式を認める方針を打ち出した。