急浮上する原子力潜水艦保有論・その可能性は(前編)/太平洋戦争での敗北を逆手にとった中国牽制に有効だ

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この作戦には先例がある。当の日本が太平洋戦争中にアメリカの潜水艦作戦に翻弄された。その影響で、ついには戦争に敗れた。

太平洋戦争では、アメリカは開戦直後から日本後方地域に潜水艦を送り込み続けた。その背景には真珠湾攻撃での敗北がある。太平洋艦隊の主力が壊滅した結果、手元に残ったのは潜水艦と空母しかなかったからだ。

太平洋戦争でのアメリカ軍の戦略

アメリカ海軍はその戦力を攻撃的かつ積極的に使った。手持ちの潜水艦を日本後方域に送り込んで日本海軍を撹乱した。開戦から半年は、貴重な空母も日本側前線の襲撃に使われた。それにより日本の侵攻を食い止める。少なくとも遅らせようとしたのである。

これは独立戦争における海軍戦略「ゲール・デ・クルース」(guerre de course、巡洋艦戦略)の踏襲である。フランスで提唱された戦略だが、実施したのはアメリカとドイツである。その影響から英語圏でもフランス語のままの綴り字で使われている。

そして劇的な効果を生んだ。アメリカの潜水艦作戦は日本戦争経済を崩壊させたことで知られている。だが実際には、それ以前の段階で日本海軍の作戦行動を頓挫させ、艦隊の整備をも不可能としたのだ。

その効果は1943年後半から顕著となった。日本海軍はアメリカ潜水艦作戦の影響で身動きがとれなくなっている。決戦戦力の連合艦隊も作戦の自由度をほとんど失った。

有力な軍艦は残っていたものの、アメリカ側の侵攻に合わせての反撃しかできない状態だった。さらには出撃しても、そのアメリカ潜水艦に空母「大鵬」や戦艦「金剛」、重巡洋艦「愛宕」以下の有力軍艦を沈められる始末であった。

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