2026年、リベラルは完全に死んだーー中道の歴史的大敗に見る「既得権益の末路」と、チームみらいが躍進した超シンプルな理由

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チームみらいの「声が届くマニフェスト」やAIを活用した双方向コミュニケーションは、まさにネットワーク上の多様な意見を統合する仕組みのデジタル実装といえる。また、党首の安野貴博氏がAIエンジニアという専門家としての信頼性を背景に、「ブラックボックス化した永田町」という敵を設定することで、「古い政治家にはできない合理的な解決」を提示した。これは「エリートは嫌いだが、専門知識は信じる」人々の心をつかんだ。

さらに、チームみらいは「みらい議会」や「みらいまる見え政治資金」といったデジタルツールを公開した。これはリーダーレスな側面、すなわち市民が直接監視・提案を行うオープンソース的統治のインフラ提供に相当するだろう。つまり、デゼーリスが論じた2つの特徴を併せ持っているのだ。

国民民主党に貢献した安野氏

そして、日本におけるテクノ・ポピュリズムの草分けは、国民民主党であった。

国民民主党の玉木雄一郎代表は、AI技術を駆使してSNSや動画のコメントなどから多くの意見を収集・分析し、政策立案に反映させる「ブロードリスニング」を積極的に導入・推進しているが、このデジタル実装の立役者が何を隠そう安野氏なのである。

2025年2月に国民民主党は、安野氏の提案をもとにAIを活用した意見収集の試験運用を開始。「こくみん電話」(自動音声対応の電話)、SNSのハッシュタグ活用、Googleフォームで、民意を可視化する試みであった。デゼーリスのいうリーダー型の走りである。その3カ月後にチームみらいは設立されている。

このようなテクノ・ポピュリズムの潮流から、中道の敗因を掘り下げると、現役世代の厚い支持を集めている政治運動に対し、「古い政治の論理」で対抗しようとしたことに集約されるだろう。中道は「改革」を党名に掲げたものの、その実態は「立憲の分配」と「公明の福祉」を足して割ったようなイデオロギーのパッチワークであった。

チームみらいがAIによるシミュレーションで政策の妥当性を示したのに対し、中道は「物は少なくても、心はどこか豊かだった、あの頃の日本。」という情緒的なポエムに終始した。特に都市部の有権者は、エビデンスの感じられない改革を単なるスローガンとしか感じられなかったことは明らかだ。

先駆者である国民民主党は、ガソリン暫定税率の廃止と「103万円の壁」引き上げで一定の実績を残し、実行力のある政党であることをアピールすることに成功した。「103万円の壁」では、自民党の税制調査会や財務省、一部野党を抵抗勢力とみなす構図ができあがることで、反既成政党、反エリート感情の受け皿になった。

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