KDDIが決算を出せなくなった理由。ビッグローブ子会社で膨張した架空取引とグループファイナンスが支えた資金還流
雪だるま式に取引額が増える設計の中で、親会社からの資金供給がその膨張を支えていた構図だ。売上高の取消額は24年3月期以前が約960億円、25年3月期が約820億円、26年3月期が約680億円。営業利益への影響は、計上利益の取り消しが累計約500億円、外部流出の引当が累計約330億円にのぼる。
ただし、2460億円という数字には留意が必要だ。松田社長は質疑応答で「現時点で認識している最大額」と説明した。広告代理事業の全取引を架空と仮定して算出しており、正常な取引が含まれている可能性がある。調査の進展に伴い、金額が変動する余地を残している。
発覚2カ月前に会計監査人が指摘していた
発覚の経緯にも課題が浮かぶ。架空取引が表面化したのは25年12月中旬、KDDIが取扱高の増大を受けて下流への発注抑制を指示したところ、上流代理店からの入金が滞ったことがきっかけだった。
だが、その2カ月前の25年10月には、会計監査人から不自然な取引の可能性について指摘を受けていた。社内の管理部門が外部の公認会計士を交えて調査したが、「客観的な証拠が得られなかった」として、この時点では架空取引の存在を確認できなかった。
ビッグローブ自身もこれまで取引の妥当性について複数回の確認を行っていたが、いずれも問題を検出できていない。KDDIは26年1月14日に外部の弁護士・公認会計士のみで構成する特別調査委員会を設置し、現在も調査を継続している。
質疑応答で「なぜこのような事案が起きたのか」と問われた松田社長は、証憑が整っていたこと、資金の出入りに問題がなかったことに加え、「広告の取引は上流から下流まで多くの事業者が存在する。下流の先まで確認しに行かなかった」ことを要因として挙げた。
広告代理事業はKDDIグループの中期経営戦略で主力と位置づけた領域ではなく、松田社長も「グループ全体の目標達成を牽引する事業ではなかった」と認めている。本業から離れた子会社の新規事業に対して、グループとしての管理が手薄だった可能性がある。


















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