KDDIが決算を出せなくなった理由。ビッグローブ子会社で膨張した架空取引とグループファイナンスが支えた資金還流

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架空取引のスキームを示すスライド。左が想定していた正常な取引、右が実際に判明した資金の還流構造を表している(写真:筆者撮影)

架空取引の構造はこうだ。上流の広告代理店からビッグローブとジー・プランが発注を受け、下流の掲載代理店に再委託する。その先の再委託先と上流の広告代理店が同一だった。

広告主もWEB掲載媒体も存在せず、資金は各社の間を循環していた。各社が手数料を差し引く形で回し、取引額は毎月増加する前提で設計されていたという。直近では月間数百億円が動いていた。

質疑応答で記者から「2名の社員だけで2500億円近い架空取引ができるのは不可解では」と問われた松田社長は、「請求書や契約書など取引を裏付ける証憑がそろっていた。資金も実際に動いていた」と説明した。毎月の取引を正常なものとして処理し続けた結果、発覚が遅れたという認識だ。

2名がジー・プランとビッグローブの両社で広告代理事業を担当する兼務体制だったことも、チェック機能が働かなかった要因の1つだ。

ビッグローブがジー・プランより後から参入した経緯があり、松田社長は「ビッグローブはジー・プランに比べて信用度がある。新規事業の開拓として参入した」と説明した。信用力のある親会社が商流に加わったことで、取引規模の拡大を後押しする形になった。

KDDI
架空取引のスキームについて説明する松田社長(写真:筆者撮影)

親会社の資金供給が不正を膨張させた

外部流出の約330億円は、架空取引のスキームの中で上流・下流の代理店に手数料として支払われた金額だ。KDDIはこの全額を引き当て計上し、回収に努めるとしている。減損などの追加損失が発生する可能性もある。

ではなぜ、ここまで金額が膨らんだのか。質疑応答で明らかになったのが「グループファイナンス」の存在だ。

KDDIはグループ全体の余剰資金を本体に集約し、資金を必要とするグループ会社に貸し付ける仕組みを運用している。ビッグローブに対しては25年度で579億円を貸し付けていた。本来は通信事業への投資に充てる資金だが、松田社長は「グループファイナンスの一部も、この還流に使われたのではないか」と認めた。

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