「値引きすれば顧客は満足する」は幻想だった…同じ費用で成果を2倍にした"割引の見せ方"
このようにメンタルアカウントを切り分けることは、"あるメンタルアカウントのお金は、別のメンタルアカウントのお金の完全な代替物であるべき"という代替性の経済原則に反している。つまり、同額の駐車場代とデザート代は同じ価値のものとして扱われるべきだが、実際には人々はそのような感覚を持っていないのだ。ケイティと私は、この代替性の原則に反する心理作用を利用して、特定の望ましいメンタルアカウントをインセンティブのターゲットにすることで、購入全体に対する単純な割引よりも強い効果をもたらしうると仮定した。
私たちは、メンタルアカウンティングが割引に与える影響を検証するため、エドモンズ・ドットコムのプラットフォームでフィールド実験を行った。このフィールド実験は、オンライン企業のほとんどが行っているA/Bテストに近い性質のものである。すなわち、企業が顧客に対して様々な選択肢を試すというものだ。主な違いは、私たちの場合は心理学と行動経済学の知見をテストの指針にしていること。
一度やり方を覚えれば、このようなテストをオンラインで実施するのは簡単だ。特に、このような実験を行うことに成熟しているエドモンズ・ドットコムのような企業と協力している場合はなおさらである。この実験では、オンライン検索の開始時に顧客を複数の割引の枠組みに無作為に割り当て、サイト上での行動を追跡した。A/Bテストと同様、顧客には実験に参加していることを知らせなかった。
メンタルアカウントを踏まえたインセンティブ設計
私たちの主な関心は、様々な割引の枠組みが顧客の購入決定にどう影響するかを確認することだ。実験の結果、車の購入価格に対する450ドルの割引は、ガソリン用のプリペイドカードとして提供される450ドルの割引よりも、顧客の購入決定への影響がはるかに小さいことがわかった。これは、私たちのメンタルアカウンティングに関する仮説を裏付けるものであった。
現金からガソリン用プリペイドカードという割引の枠組みのシフトによって、インセンティブの成功率は2倍以上になった。後続の実験によって、プリペイドカードの額が車の購入価格に対する割引額より少ない場合でも、この効果が維持されることがわかった。顧客は、車の購入費を450ドル割り引かれるよりも、250ドルのガソリン用プリペイドカードをもらえるほうに好意的に反応したのである。
駐車場代やWi‐Fi代、荷物の預け入れ代などは、多くの人が煩(わずら)わしいと感じている支出である。ガソリンスタンドでお金を払うことを楽しみにしている人も、めったにいない。だからこそ、無料でガソリンを入れられると嬉しい気分になれる。人々がお金を払うのを嫌がるものを中心にしてインセンティブを設定すると、効果を高められるのである。
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