「心臓マッサージ3000円」「オプジーボ50万円」が物語る医療現場の"命の格差"――技術より薬が上。医師が明かす「不要な検査・入院」の裏側

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東大病院でもすべての診療科が、このような方針を採っていたわけではない。筆者は第1内科でも研修したが、週末の退院は問題視されなかった。

これは、第3内科と第1内科の組織風土の違いを反映している。第3内科は明治時代の青山(胤通)内科に始まる東大病院で最も古い診療科で、「白い巨塔」のような競争が繰り広げられてきた。

もちろん、近年の状況は違う。

わが国の診療報酬は、厚労省が全国一律に定めている。東京で経営できる報酬にすれば、地方の医療機関は大儲けする。反対に診療報酬を抑制すれば、物価が高い都市部の医療機関は経営が維持できなくなる。

近年、東京で医療機関閉鎖が相次いでいるのは、このような背景があるからだ。赤字を税金で補填してくれる国公立病院はともかく、民間病院の経営者は何とかして稼がねばならない。

筆者はいくつかの病院で診療しているが、「入院を増やしてください」、「CTやMRIのオーダーを増やしてください」という依頼を受けることは珍しくない。勤務医として働く以上、経営者の意向は無視できない。

一方で、医師の良心に照らし、患者に不利益を与えるのは避けたい。

そのためには、両者のバランスをうまく取る必要がある。嫌がる患者を無理やり入院させたことはないが、必要性が低いCTやMRIをオーダーしたことは、何度もある。

このような行為は規制すべきとお考えの方が多いだろうが、規制は本質的な解決にならない。

安すぎる医師の「技術料」

では、どうすればいいのか。日本の医療に関する正確な状況を国民とシェアすることだ。日本経済新聞の記事は、この点で問題だ。

厚労省が診療報酬を全国一律に統制していることは前述したが、問題はそれだけではない。医師の「技術料」が安すぎるのだ。

例えば、診療行為に対して支払われる初診料と再診料は、それぞれ2910円と750円(実際に患者が支払うのはその1~3割、以下同)である。医師は1時間に8人程度診察し、その内訳は新患2人、再診6人くらいだ。

その場合、医療機関が受け取る診療報酬は、1時間当たり10320円。このなかから、医師、看護師、事務員の給与や家賃などを支払う。これでは経営できない。

これが不要な検査や入院を増やし、収益を増やそうとする背景だ。

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