朝ドラ「ばけばけ」 小泉セツは本当に妾ではなかった?長男がみた父・小泉八雲の素顔
このシーンが放送されると、SNSでは「失礼過ぎる」「すごい侮辱」「セクハラ」といった言葉が飛び交ったが、ツルの証言が出た当時も大きな反響を呼んだ。女性を品定めするような発言から「ハーンが妾を求めた」という噂まで広がった。
ハーンが行きたかったのは遊郭ではなく「寺」
そのことについて、ハーンとセツの間にうまれた長男の一雄は後年に『父小泉八雲』で、次のように怒りをにじませている。
「『あの女はよい家柄にしては手足が太く、しかも荒れているが、士族とは本当か?』と尋ねたのは、あるいは事実かもしれぬ。しかし『小百姓の娘を士族の娘と偽り、妾に世話するとはひどい』と怒ったなどは、父の性格を種々の点から検討している自分には、どうも合点できぬ」
合わせて一雄は、ハーンが日本に来たばかりの頃の逸話を紹介している。
人力車で街を見物しようとすると、車夫が勝手に遊郭に連れていこうとしたため、ハーンは激怒。車夫はすぐに引き返したのだという。
それでは、遊郭ではなく、ハーンはどこに行きたかったのか。それは「寺」である。
本当は日本に来てすぐに寺に向かいたかったが、車夫とコミュニケーションがうまくとれずに断念。空しくホテルに帰ることになったが、ある言葉を覚えて、ようやく寺巡りができるようになった。ハーンは『知られぬ日本の面影』でユーモラスにこう綴っている。
「今は車夫も理解した。ホテルの主人が神秘なような言葉を発音したから。『寺に行け』」
寺見物を終えて、階段の下で再び人力車に腰を降ろしたハーン。車夫から「寺ですか」と尋ねられたので、その真意をこんなふうに解釈した。
「これは私がもっと寺を見物したく思っているのか、という問いに相違ない。実際そうだ。まだ仏像を見ないのだ」


















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