関電ブランドで急成長、虎の子通信事業 「ケイ・オプティコム」の前途

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それでも、NTT西の11年度の販売実績は目標85万に対し59万と苦戦。滋賀県と奈良県ではケイオプにシェア首位の座を奪われた。NTTグループでも関西のシェア低下が響き、フレッツ光の12年度販売目標を140万~150万に設定。毎年上積みしてきた目標数値を初めて引き下げた。

「割引サービスは必ず関西からスタートさせる」と話すのはケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(JCOM)。JCOMもNTT西と同様、ケイオプ対策で関西独自のサービスに力を入れる。他地域では月額525円を課金する無線LANへの接続を関西では無償提供、ネット接続でも割安のプランを設定する。

ケイオプを敵ではなく味方にしたのがKDDIだ。JCOMに31%を出資する大株主でありながら、ケイオプとも提携。猛反対したJCOMを押し切り、勢いのあるケイオプとauのスマートフォンとの組み合わせによる割引策を講じた。

関電ブランドで風評が

ただ、関電の原発再稼働問題もあり、今後の行方は不透明だ。

あるケイオプの営業社員は「これまで営業先で『関西電力グループのケイ・オプティコムです』と名乗っていたが、最近は『関西電力』の部分は省略するようになった」と話す。関電グループであることが逆に一部では“風評被害”を招くようになっているからだ。関電出身である藤野社長は「関電は通信事業を柱として考えているので当面は関電傘下でやっていくが、長期的にはわからない」と話す。

一方、ライバル会社からも「地域独占の電力会社が豊富な資金力を背景に通信事業を行うこと自体に問題がある」との声が聞こえる。過去には東京電力が通信事業を電力業界に近いKDDIに売却した。今後、ケイオプが売りに出される可能性は否定できない。

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(麻田真衣 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2012年6月9日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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