アップルがグーグルGeminiをSiriに組み込んだ戦略。ChatGPTに続きAIを中枢に置かず交換可能な部品として扱う狙い

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

圧倒的シェアを握っていたマイクロソフト社の「Internet Explorer(IE)」を5年間にわたって、Macの標準ブラウザとすることが、潰れかかっていたアップル社に投資をしてもらうための4つの条件の1つとなっていた。

1997年夏から5年というと、契約が切れるのは2002年の夏だが、そこから半年後の2003年1月、アップルは突如、自社開発のWebブラウザ、Safariを発表する。表示速度の圧倒的な速さが売りで、悪質なインターネット広告をブロックする機能やプライバシー保護の機能など、今でこそ当たり前となった数々の新機能を搭載していた。2007年から5年間だけだが、なんとWindows版も提供され、Internet Explorerから市場を奪おうとしていた。

またMacやiPhoneといったアップル製品のプロセッサと言えば、今でこそアップルシリコンという自社開発のものだが、1990年代まではモトローラ社、その後はIBMやモトローラと共同開発したプロセッサを採用。その後、さらに宿敵と思われていたインテルのプロセッサを搭載するなど、その時々で一番いいプロセッサを渡り歩きながら、自らの開発力を養い、最終的に自社製のアップルシリコンに切り替えた経緯がある。

IBMやインテルといった、かつてのライバルと組むたびに、メディアは「IBMへの敗北」、「インテルへの敗北」と報道した。今日振り返れば、こうした記事がいかに近視眼的だったかがよくわかる。

今日、「グーグルにAIで敗北」と騒いでいる人たちは、数年後、同様に評価されることになる可能性が高い。

アップルにとっては、技術の黎明期(いまのAIがまさにそうだ)における外部調達は、「自社で最高のものができるまでの時間稼ぎ」に過ぎない。

今のAI界隈のように、わずか数カ月でトップが入れ替わるような不安定な時期には、あえて自社開発で深追いをせず、グーグルという最強のランナーを「雇う」ことでブランド価値を高める、これがアップルの戦略であり、結果的にアップルが重視する顧客体験の質向上でも効果がある戦略になっている。

アップルのOS統合型のAIのブランド「Apple Intelligence」
アップルのOS統合型のAIのブランドは「Apple Intelligence」で、これが変わることはない。Geminiは、その裏方の部品としてここに加わることになる一時的なサポート係に過ぎない(写真:アップル)
ChatGPTとApple Intelligenceの連携
Geminiは、Apple Intelligenceの初めてのサポート係ではなく、現在、既にChatGPTが複雑な要求に対応するためのサポートとして入っている。今後、ChatGPTとの契約を継続するかは気になるポイントだ(写真:アップル)

Geminiを「部品」にしたSiriが日常をどう変えるか

では、この提携によってiPhone体験はどう変わるのか。まだ、アップルが公式に発表したわけではないので、筆者の想像であることを留意してほしいが、おそらくこんなふうになるはずだ。

次ページGeminiを「部品」として手に入れた新生Siriの進化を予想
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事