大橋氏は82年に結成されたグループ「SOSHIREN 女(わたし)のからだから」に参加し、長年、刑法「堕胎罪」の撤廃を求めてきた。
日本では07(明治40)年の刑法で堕胎罪を規定し、堕胎(中絶)については妊娠した女性本人や施術をした人が処罰の対象となる一方、「妊娠させた」罪を男性に問うことはない。
48年に制定された優生保護法(96年に母体保護法へ改正)により、優生的理由、母体の健康を著しく害する場合、レイプを理由とする中絶は例外的に合法となる。翌年に経済的理由なども加わったことで、予期せぬ妊娠をした人も合法的に中絶できるようになった。
ただし、結婚している人は、配偶者の同意が必要である。さまざまな条件が付く仕組みは複雑で、中絶できなかった女性が孤立出産し死体遺棄で逮捕されるなど数々の悲劇を生んできた。
SOSHIRENは、82年に優生保護法から「経済的理由」を削除しようという動きが国会であったとき、この動きに反対して生まれた。中絶許可条件から「経済的理由」が削除されれば、罪に問われる女性が増えるからだ。大橋氏らは子どもを産むか、産まないかを、自分で選べる社会を目指して活動を続けている。
2025年9月には、岡山市の古民家書店「スロウな本屋」で開かれた朗読会で同書が取り上げられ、SOSHIRENのメンバーがゲストに招かれた。体験者の例を読むうちに、「自分や友人が産婦人科で遭遇した出来事や、身体をめぐって心のどこかで引っかかっていたことを話し合えた、とてもいい時間でした」と大橋氏。
「妊娠だけではなく、どういうセクシャルな関係を持つのか持たないのか、誰と住むのか。そうした話を含めもっとフラットに語り合える世の中になってほしい」と話す。
予期せぬ妊娠は他人事ではない
医療者の態度が懲罰的になりがちな背景について、大橋氏は堕胎罪の存在を指摘する。
「そもそも医療者が、中絶する人をジャッジしてはいけない。でも、インフォームドコンセント、ウェルビーイングな治療など、他のことでは患者のためを考える医療者が、中絶については、利用者を尊重しない対応をすることがいまだにある。
医療者自身も、刑法で犯罪とされている行為を、医療とは認識しづらいのかもしれません。元の身体に戻す行為として、中絶が非犯罪化されれば変わってくると思います」(大橋氏)


















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