乗り換えのために降りた駅は、まるで品川駅のように人で溢れかえっていたが、みんな無言で行進していた。先月乗った瀋陽~丹東の高速鉄道(新幹線)も同じで、清潔感や静寂感はバッチリ。マナーも、日本と何ら変わらない感じだった。
大変お恥ずかしいことに、私は中国人が好きである一方で、かつて長い期間「中国人=うるさい、マナーが悪い」といった偏見も持っていた。だからというか、その証拠に、私は中国系の飛行機でイヤホンを付けずに、ネットフリックスで『スパイファミリー』を視聴したことがある。どうせ機内は中国人だらけで騒がしいだろうから、別にいいだろうと思っていたのだ。
ところがどっこい。動画視聴から数分後、CAさんから「少し音量を下げてもらえますか?」と英語でお願いされた。動画に集中していて気が付かなかったが、周りを見渡すと、機内でうるさいのは日本人の私だけ……。赤面しながら全力で謝罪したとろころ、CAさんは笑顔で「大丈夫ですよ」と言ってくれた。隣に座っていた中国人男性も、親指を立てながら「OKOK」と笑ってくれた。
お金がない日本人に中国人が取った「ななめ上の対応」
中国では現金文化がほぼ完全に消滅しており、アリペイなどの電子決済サービスが主流になっている。が、私は、この事実を知らないまま「なるようになるっしょ」の精神で、単身で中国へ渡航。人民元約5千円分と楽天カードを持って2025年5月、中国のウイグル自治区を訪れた。
ホテルに到着したのは25時前だ。周辺には飲食店が1軒もなかった。ロビーには自販機でカップラーメンとビールが売られていたが、支払いはアリペイ限定というオチ……。受付にいた20代くらいの中国人女性に泣きついたところ、彼女の個人用アリペイで購入 → 私が彼女に現金を渡すという方法で、夜ご飯を確保できる見通しが立った。
けれど私は、細かいお金をあまり持っていなかった。なのでピッタリ支払えない。ここは30代の男性らしく、大目に支払うのが万国共通のマナーだろう。私は財布からお札を取り出して、彼女に渡そうとした。が、彼女はニコッと笑いながらこう言った。
「小銭が足りない分は私が奢るからいいですよ」
よもやよもや、初対面かつ一期一会の年下女性に、私は100円分の食事代をご馳走になった。想像のななめ上をいく展開に、恥ずかしさや申し訳なさはもちろんあったのだけど……親切に対応してくれたことが、私は心から嬉しかった。


















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