レアアース王国・中国の「毒」 官民が結託し不正が横行

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採掘は山林権(山林の利用権)と採鉱権に関係してくる。鉱物資源は国家のもので、企業は採鉱権を取得すれば採掘が可能だ。しかしレアアースは地下にあり、地表の山林の権利は農民にある。採掘するとなれば農民との交渉が必要になる。そうした交渉には地元当局の助力が不可欠だ。

省政府はレアアースを経済発展の牽引役にしたいと考えており、事業の主導権を中央企業に持っていかれることに抵抗を示す。仮に中央企業が省外の工場で高付加価値品を製造すれば、省の税収に寄与しない。省としてはなるべく地元企業にかかわらせたいところだ。

地方企業も難題を抱えている。採掘をめぐる権利関係の処理が複雑なためだ。採鉱権は自社で保有していても、実際に採掘しているのは個人業者であり、こうした業者は山林権を農民から買い取っている。採掘の作業場も業者が自前で作ったものだ。地方企業が自主採掘を進めるには調整が必要だが、個人業者と地方政府当局者との結び付きもあって、事は簡単ではない。

レアアースを単なる鉱物資源ととらえるのではなく、そこからハイテク製品を生み出そうという動きも活発になっているが、まだ緒に就いたばかり。たとえばカン州市龍南県には26社のレアアース関連企業があるが、最終応用製品は省エネタイプのライトだけ。全国でもレアアースを用いた高付加価値品を製造する企業は少ない。中国はレアアース王国だが、本当の王国になるには道のりは遠い。

(中国『中国経済周刊』4月16日号 郭芳、董顕苹記者 =週刊東洋経済2012年6月9日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。Photo:Materialscientist CC BY-SA

 

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