日立金属が米国でネオジム磁石一貫生産 レアアースの新調達ルート確保し、13年4月にも生産開始へ
特殊鋼大手の日立金属は、ハイブリッド車などで多く使用されるネオジム磁石の米国生産に踏み切る。米国ノースカロライナ州に2012年2月に新工場を着工し、13年4月にも量産を開始する計画だ。12月21日に発表した。
ハイブリッド車などエコカーの必需品とされるネオジム磁石は、日立金属が基本特許を保有し、世界首位を誇る。これまで、日立金属はネオジム磁石の一貫工場を熊谷など国内に限定してきた。それが、実質的に海外初のネオジム磁石の一貫工場を建設することを決めたのは、主原料のレアアースの調達面と、エコカー向けなどにネオジム磁石の市場が拡大している、という2つの背景がある。
ネオジム磁石の命運を握る主原料のレアアースについては、これまで中国に資源が集中していたが、過去には米国での採掘も少なくなかった。今年夏に原料供給契約を結んだ米国モリコープ社は、カリフォルニア州にあるレアアース鉱山(マウンテン・パス)の採掘再開を進めており、12年末の計画を前倒しして12年後半にもレアアースの出荷ができる見通しが立ってきた。日立金属の新工場では、モリコープ製のネオジム合金をメインに、日本製の合金も含め調達する方針だ。
ネオジム磁石の主原料は、鉄とボロンとレアアースのネオジム。そのコストの大半を占めるのが、価格高騰が著しいネオジムだ。ほかに、耐熱性を高めるためにレアアースのジスプロシウムも使用するが、これは依然として中国南部に資源が集中することは変わらない。それでも、使用量の多いネオジム合金が米国で調達できるメリットは大きそうだ。
そして、米国での工場建設のもう1つの狙いが、米国で大きく膨らむネオジム磁石の需要へ対応することだ。政府の補助金もあり、この磁石を多く使用するハイブリッド車、電気自動車の生産増が見込まれている。日系メーカーを中心に現地調達の要請も強かった。また、足元の円高定着の動きもそれに拍車をかける。
新工場を管轄するのは、米国でフェライト磁石を生産してきた100%出資のヒタチ・メタルズ・ノースカロライナ。同工場の敷地・建屋に余裕があったため、投資額は20億円程度でおさまる見通しだ。
東洋経済では、この発表をポジティブに捉えるが、生産開始予定が13年4月であり、来13年3月期への業績影響は軽微と判断。「会社四季報」新春号(12月12日発売)の予想を据え置く。
(山内 哲夫 =東洋経済オンライン)
《東洋経済・最新業績予想》 (百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益 連本2011.03 520,186 43,143 37,591 22,204 連本2012.03予 570,000 44,500 40,500 21,700 連本2013.03予 640,000 60,000 57,000 33,000 連中2011.09 261,726 16,532 15,482 6,790 連中2012.09予 294,000 22,000 21,000 9,400 ----------------------------------------------------------- 1株益¥ 1株配¥ 連本2011.03 63.0 12 連本2012.03予 61.6 12 連本2013.03予 93.6 12-14 連中2011.09 19.3 6 連中2012.09予 26.7 6
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら