こちらもしばらく両側は不毛の地で、左手、つまり西側に見える低い丘陵は、国境を越えたイスラエルの地である。
アカバを出て2時間ほどが過ぎると、左手に死海が広がってくる。塩分濃度が通常の海水の10倍近くもあり生物が住めないこと、そして地球上でもっとも低い場所であることから、その名を世界に知られている塩湖だ。
現在の水面の標高は、海抜マイナス430m前後。面積は1960年代には1000km2ほどあったが、灌漑(かんがい)用の取水や気候変動の影響で年々縮小し、現在は600km2前後と琵琶湖よりも少し狭い程度にまで小さくなってしまっている。
このデッドシー・ハイウェイは、さらにヨルダン川沿いに北上し、シリア国境近くまで続く。
死海の少し先には、キリストがヨハネから洗礼を受けたとされる地、バプティズム・サイトがあり、キリスト教徒の重要な巡礼地となっていて、2015年には「ヨルダン川対岸のベタニア」という名称で世界遺産に登録されている。
デッドシー・ハイウェイは、大地溝帯という地質面とキリスト教の聖地という文化面の両面を体感できる、重要な交通路であるともいえる。
4000年続く交易路「王の道」
最後はキングス・ハイウェイ。直訳すれば「王の道」となるこのルートは、実は現代の高速道路とはまったく関係なく、今から4000年ほど前、多くの王国が興亡した時代に整備された交易路だ。
世界遺産ペトラや、古代からの都市で多くのモザイクが残されていることで知られるマダバなどを通っている。今も一般道として使われている部分が多く、写真は取り損ねたがキングス・ハイウェイの標識も見かけた。
北は国境を越えてシリアのダマスカス方面へと続いており、「旧約聖書」にも記述があるこの古代の道路が、数千年の時を越えて今もその歴史を伝えていることに、あらためてヨルダンの文化の多様性を感じることができた。
ちなみにヨルダンは、今も国王が国の元首となっている王国だ。「ヨルダン・ハシミテ王国」が、国の正式名称となっている。


















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