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授業は活発でもテストの成績が上がらない…学校現場の「学び方の指導」が表面的になっている? 本当に学力がつく「3つの方略」と指導の設計図

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  • 樋口 万太郎 中部大学 現代教育学部 現代教育学科 准教授
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「あ、このやり方だと自分には合わないんだ」「このタイプの問題に、この方略は通用しないんだ」という気づきは、失敗して初めて得られるものです。

そう考えると、「手取り足取り教える」授業が、実は「子どもが失敗から学ぶ機会」を奪っている可能性もあります。

だからといって、いきなり子どもに任せるのではありません。Schunk & Zimmerman(2021)は自己調整学習能力の発達段階においては、「観察→模倣→自己制御→自己調整」という4段階があるとしています。各段階では以下のような指導や教師の役割が必要です。

1. 観察
「やりなさい」と指示するだけでなく、「図に描いてみよう」「これまでの学びと似ているところはなかったかな」と声に出して、教師が実演してみます。
2. 模倣
子どもが教師の真似をしてやってみたときに、即座にフィードバックをします。
3. 自己制御
以前のように直接的に教えるのではなく、ヒントを出したり促したりながら、子どもが1人で課題に取り組んでいけるようにしていきます。
4. 自己調整
学んだことを自己選択・決定していくという段階です。

子どもたちの「脳のスイッチ」を入れよう

一斉授業は、この「観察」と「模倣」を行うのに最適な場です。一斉授業で“武器”の「使い方」と「選び方」を教え、徐々に手放し、最終的に子どもが自分で選べるようにしていくということです。

ぜひ次の授業で、「今日はどんな作戦(方略)で学ぶ?」と問いかけることから始めてみてください。 その一言が、子どもたちの「脳のスイッチ」を入れる合図になります。

単なる「学習環境の調整」や「作業のマネジメント」からの脱却を。子どもたちが自ら学びの舵を取り始める瞬間を、先生方の教室でたくさん生み出されることを願っています。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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