次の標的?キューバに注目が集まっている理由、トランプ政権はキューバの体制崩壊から何を得るのか

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Photographer: Joe Raedle/Getty Images

トランプ米政権がベネズエラで軍事作戦を展開し、マドゥロ大統領を拘束したことを受け、キューバに注目が集まっている。

ベネズエラと政治・経済面で強い結び付きのあるカリブ海の共産主義国家キューバに対して、トランプ大統領は政権1期目から圧力を強めてきた。キューバの長引く経済危機は深刻化するばかりで、トランプ氏はベネズエラへの打撃が転換点になり得ると主張している。

同氏は米軍のベネズエラ攻撃直後、キューバがすでに極度に弱体化しており、「自壊」する可能性が高いと述べた。ルビオ米国務長官は「もし自分がハバナに住み、政府の立場にいたら、心配するだろう」と語った。ハバナはキューバの首都だ。

ただ、フロリダ州の海岸からわずか90マイル(約145キロメートル)に位置するこの島国は、これまでも悲観的な見通しを何度も乗り越えてきた。

キューバとベネズエラの関係は

マドゥロ氏の前任者ウゴ・チャベス氏は1999年にベネズエラ大統領に就任するとすぐに、当時のキューバ指導者フィデル・カストロ氏を政治的な後見人として受け入れた。以降、両者は長年にわたり左派のリーダーとして、中南米・カリブ海地域の政治に影響を与え続けた。

その過程で、石油資源に恵まれたベネズエラはキューバにとって最大の支援国となった。ベネズエラが極めて安い価格で日量10万バレル超の石油をキューバに送っていた時期もあった。

一方、キューバは医師や教師、治安要員をベネズエラに派遣。カストロ氏はチャベス氏を「キューバ史上、最良の友人」と呼んだ。

こうした関係は、2013年のチャベス氏死去後も続いた。マドゥロ氏は自国経済が崩壊する中でも、キューバへの石油供給と政治支援を続けた。

キューバ政府は米軍のマドゥロ氏拘束に伴い、同氏の警護などに当たっていた少なくとも32人のキューバ人治安要員が死亡したと発表した。カストロ氏は16年に死去している。

キューバ経済、マドゥロ氏不在で持ちこたえられるのか

可能性はある。マドゥロ氏は麻薬テロ関連の罪で米国に連行され、ニューヨークで裁判を受けているが、ベネズエラではロドリゲス暫定大統領が指揮を執っている。

トランプ政権が支持するロドリゲス氏だが、キューバ支援を継続できる裁量があるのかどうかは分からない。支援が完全に打ち切られた場合、島国のキューバには壊滅的な打撃となる。

キューバの電力や産業を支えているのはベネズエラ産の石油だ。それがなければ停電や食料・医薬品など必需品の不足は一層深刻化すると専門家は指摘する。米国に逆らってキューバの救世主として名乗りを上げる国が他にあるのかも不明だ。 

トランプ政権はキューバの体制崩壊から何を得るのか

米国の歴代政権は、キューバの共産主義体制を打倒するか、少なくとも変革を迫ろうとしてきた。ただ、トランプ氏ほど強硬に圧力をかけた大統領はいないかもしれない。

キューバ系移民の両親を持ちフロリダ州で生まれたルビオ氏に後押しされ、2期目のトランプ政権は制裁を強化している。フロリダ州南部で大きな票田となっているキューバ系米国人は、長年にわたりキューバの体制転換を訴えてきた。

ルビオ氏がそれを成し遂げれば、今後の選挙で共和党のトップリーダーの一人として大きな支持を得る可能性が高い。

キューバはまた、中国やロシア、イランなど米国に敵対する国がフロリダの目と鼻の先に足がかりを築く拠点とワシントンでは見なされている。体制転換は、中国やロシアなどの影響力を抑え込むと考える米国の有力政治家もいる。

米国にとってのリスクは何か

経済危機が続くキューバからは、大量の難民が米国に流れ込んでいる。1980年には「マリエルボートリフト」と呼ばれる大規模な難民流出が起きた。キューバのマリエル港からわずか数カ月の間に12万5000人以上がフロリダに殺到した。

新型コロナウイルス流行期に始まった現在の流出も、今やマリエルボートリフトよりも多くなったが、収束の兆しは見えない。キューバの政権が完全に崩壊すれば、さらなる大規模な難民流出と人道危機が起きかねない。

キューバの体制崩壊は、カリブ海や中南米の他地域を不安定化させる恐れもある。長きにわたり思想的な同盟関係にある西半球の一国が崩壊した場合、中国やロシアがどう反応するのかも予測できない。 

著者:Jim Wyss

ブルームバーグ
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