「初任給30万でこの程度…?」 「入社7年目でもらっていた額と同じ…」 高給新卒とベテラン勢の悲鳴『現場崩壊のリアル』

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

メジャーリーグのFA市場を思い浮かべてほしい。

近年、日本人選手の契約金は異常なほど高騰している。岡本和真内野手は、巨人からポスティングシステムを利用しブルージェイズと4年総額6000万ドル(約93億円)で契約した。日本での年俸5億4000万円から、一気に跳ね上がった計算だ。

さらに驚くべきは、西武からアストロズへ入団を決めた今井達也投手である。

今井はアストロズと3年総額5400万ドル(約85億円)で契約した。日本での最終年俸は1億8000万円。実に約47倍もの金額だ。

しかし、今井はメジャーで実績があるわけではない。23年、24年、25年と10勝し、25年は防御率1.92だったものの、浮き沈みもあり、過去に二度の減俸を経験している。20年には防御率6.13、22年には故障でわずか9試合しか投げられなかった。

それでも、約85億円の契約を勝ち取った。

「将来の期待値」で価格が決まる市場

なぜか。「将来の期待値」で価格が決まる市場だからだ。

優秀な投手を獲得したい球団が増え、競争が激化した結果である。選手の過去の実績よりも、これからどれだけ活躍するかという「期待」に対して、球団は大金を払う。

日本の新卒市場も、同じような構造になっている。

新人の初任給が30万円を超えているのは、彼らが優秀だからではない。「若くて働く人」そのものが希少になり、企業間の獲得競争が激化しているからだ。

メジャーリーグで「今井は85億円の価値があるのか」と疑問を持つファンがいるように、「この新人は年収500万円の価値があるのか」と疑問を持つ先輩社員がいる。

しかし、市場価格とは、そういうものなのだ。

需要と供給のバランスで決まる。本人の実績とは別の次元で、価格は動いていく。

冒頭のIT企業マネジャーが嘆くのも無理はない。彼が入社した20年前とは、まったく違う市場原理が働いているのだ。

新人の給与が急激に上がり、入社数年目の先輩社員の給与に肉薄する。あるいは追い抜いてしまう。これが「賃金の逆転現象」だ。

冒頭のマネジャーが抱えていた不満の正体は、まさにこれだ。

「私が入社7年目で到達した給与を、あいつは1年目でもらっている。それなのに、仕事の質は私の7年目には到底及ばない」

彼はそう言った。

次ページ深刻化する「賃金の逆転現象」
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事